賢い狐にご用心 Ⅱ (ページ22)

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犬が五十七匹ページ22

　
　
　
「なんだ、これは…」

「オラァ！早く飲み物もってこいよォ！」

「肉！肉！ひゃははは！」

『どうなっているんだい？』

「道を開けてください。通ります！」

『出直そうか』

「……そのほうが良さそうだな」

これはまた暗雲が……

それにラウンジ内にブッチ君がいるのを見かけた

きっとVIPルームにキングスカラー君もいるんだろうなぁ…

『デイヴィス。僕の部屋に寄ってから食堂に行こうか。リクエスト受け付けるよ』

「！それは光栄だな。部屋に戻るのは何故だ？」

『いや、その、水晶玉をちょっとね』

「……無理はするなよ。俺はキッシュが食べたい」

『ふふっ了解』

＿＿＿＿＿＿大食堂

『“モニトゥール”オクタヴィネル寮の…そうだな、アズール·アーシェングロット君の様子を見せておくれ』

［か、返してください……それを返してください！］

これは……良くないなぁ

『デイヴィス、見ておいてくれるかい。すぐ作るから』

「あぁ、分かった」

あっちはデイヴィスに任せてっと…

ほうれん草のキッシュでいいかな

キッシュはパイシートで作ると時間がかかるから、今日はパンで作ろうか

ほうれん草とベーコンを炒めたものを生クリーム、卵と絡めて、パンの白い部分をくり抜いて具を入れる

それをオーブンで焼いたら………完成！

『デイヴィス、お待た、せ……』

「……美味そうだな」

『ね、ぇ、これ……どういう状況？』

「……………」

［ユニーク魔法の使い過ぎです。ブロットが蓄積許容量を超えている！このままでは………オーバーブロットしてしまう！］

［あーっはっは！あーーーっはっはっは！］

『あ、あ、………』

そんな、アーシェングロット君まで…

僕が何か、できることは…

ﾊﾟｼｯ)

『⁉』

「もう、行くな」

『で、でも…』

「生徒を影で支える存在になりたい、とあの時言ったのを忘れたのか？過干渉も良くない。ローズハートのときは止めなかったが、これ以上オーバーブロットしている生徒に関わるな。いつかお前が壊れるぞ、A」

『ッ……………』

…デイヴィスの、言う通りだけど

［僕は……僕はただ…………っ！］

「……終わったようだな」

『良かった…………』

「…………」

デイヴィスが僕の頭を撫でる

耳の裏で大きく心臓の音がしていた

……僕は、どうしたいんだ……？