賢い狐にご用心 Ⅱ (ページ21)

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犬が五十六匹ページ21

少し甘いです
　
　
　
『金庫……傷がついただけでも困る……』

「……い、おい………A……」

『あんなに焦って……契約書が入っているだけなのに…』

「おい、A！」

『！！あ、あぁ、ごめん。いつから声かけてた？』

「二、三度な。何を呆けている？」

『いや…イソギンチャク騒動の決着がそろそろつきそうかな、と思ってね。僕自身でも考え事を………』

「？どうした」

あ、あ〜！！

『そういうことか！』

「ﾋﾞｸｯ)おま、たまに大声出すのやめろ…」

『ごめんごめん(苦笑)気づいたことがあったからさ』

そうか、そういうことか

アーシェングロット君の契約書は無敵じゃない

無敵だったら金庫になんて入れなくてもいい

普通の紙と何も変わらないんだ

人に盗られたら困るから鍵をかけているんだね

きっと監督生君も気づいただろう

「満足か？」

『あぁ、とっても』

「…そうか(微笑)」

………眼福

デイヴィスほんとに顔がいいよね

生徒が見たら卒倒してもいいくらいだよ

シェーンハイト君といい勝負……まぁ僕からすればデイヴィスの圧勝だけど

「何か変なこと考えてないか？」

『何も？』

「はぁ………俺にはお前が分からないときがある」

『そうしたら誰も僕を理解してくれないじゃないか』

「！………ふっ。まぁそうだろうな。だがそれで十分だろう？」

『…ふふっ。そうかもしれないねぇ。ありがとうデイヴィス……愛しているよ』

「俺もだ………さて、小腹が空かないか？」

『す、すごい話題転換だね……確かに。ずっと集中して薬品生成をしていたから、胃が空っぽだ』

「お前は少しばかり心ここにあらずという様子だったが」

『うっ……ん゛んっ。取りあえず、モストロ·ラウンジでも行こうか？』

「様子見のつもりか？」

『それもあるけど……モストロ·ラウンジのメニューはどれも美味しいよ？』

「たまにはお前が作ってくれてもいいんだがな」

『別の日にね』

学生時代はよくいろんな人に作っていたなぁ…

マスターシェフとか選択してたっけ

「あっ、クルーウェル先生コート着てない！」

「本当だ！それにフェール先生が白衣を着ているぞ！白衣でもお美しい！」

「ふんっ。当たり前だな」

『なんでデイヴィスが自慢げなのかな』

なんて他愛ない会話をしながらモストロ·ラウンジへと向かう

あそこまでひどいことになっているとは知らずに
　