賢い狐にご用心 Ⅱ (ページ14)

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犬が四十九匹ページ14

　
　
　
「おや？フェール先生ではないですか!モストロ·ラウンジの支配人である僕に何か………」

『君のおしゃべりに付き合っている時間は無いんですよ、アーシェングロット君』

「！………少し失礼しても？」

『えぇ、どうぞ。けれど手短にお願いしますよ』

「勿論です(ﾆｺｯ」

……なんとも胡散臭い笑顔だね

大方、リーチ君とでも話をしに行く気なんだろう

僕がどうしてこんな様子なのかについて…

聞いたところで誰にも分からない

……分かってくれてもデイヴィスくらいさ

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「ジェイド!少し来てください」

「どうしました？」

「どうしたじゃない!お前、フェール先生に何を言ったんだ⁉」

「僕は何も言っていませんよ。声をかけたときには既に機嫌が優れなかったようです」

「……あの状態の先生を僕たちは見たことがない。どう出てくるか…全く想像もつきませんね」

「そうですね。ですが悩むより先に行動しては？」

「……今回はそうしましょう。待たせすぎてもいけませんからね」

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ふふっ

混乱しているようだねぇ

『僕には全て丸見えなんだけどなぁ…』

本当に、魔法って便利だよ

「お待たせ致しました。それでは、フェール先生。どのようなご用件でしょう」

『あぁ。そうだったね。今回の定期テストのことなのだけど……生徒たちの大幅な得点アップに尽力したのは君だね？』

「え、えぇ。僕の定期テスト対策ノートのおかげ、と言えますかね」
(い、いつも通りのフェール先生だな……)

僕の機嫌一つであたふたしているアーシェングロット君が面白かったから

苛々していたのも水に流すとしよう

……まぁ完全に治まったわけでもないけど

いちいち態度に出すのも良くないかと思ってね

『それで……代価は何にしたのかな。まさかイソギンチャクを生やして従わせるだけ、ではないよね』

「そうですね。彼らの一番得意な魔法を僕に譲渡する、という条件で契約をしましたよ」

『なるほどね……達成度はどのくらいだったんだい？』

「それが全然駄目でしてねぇ。皆さん文句ばかり言ってくるんですよ。契約を守れなかったのは自分だというのに」

『…そうだね。最後にこれだけは聞かせてくれるかな。イソギンチャクたちを解放することはできるのかい？』

「それには新たな契約が必要になりますが」

『…なるほどね。ありがとう』

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