賢い狐にご用心 Ⅱ (ページ1)

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仔犬が五匹ページ1

　
　
　
「僕が、一位を取れなかっただと………!!」

『う、うそ』
　
　
「全部百点に近い点数取っておいてその反応か?」

『だ、だって、周りの点数わからないし』

「ズルでもしたんじゃねぇか?(笑)」

「レオ、Aがズルなんてするわけないだろ?寮長なんだから」

『ルイ………それじゃあ僕が寮長じゃなかったらズルしてたみたいじゃないか……』

「ってか今年の寮長たちすごいな!ほぼ全員十番以内にいるじゃん!」

　
「『……………』」

　
　
「君も寮長だろ!!チェンド!あんなに教えたってのに!」

「おいクイン。一位をAに取られたからってチェンドに当たるな」

「黙ってろデイヴィス!!」
　
　
　
　
クイン荒ぶってるなぁ………
　
　
　
今、期末考査の順位を皆で見てたとこ
　
　
　
順位は上から、
　
　
　
僕、クイン、ルイ、レオパルド、デイヴィス、フィー、チェンド、ってところだね
　
　
　
フィーとチェンドの間がめちゃくちゃ開いてるけど
　
　
　
…………あれ?
　
　
　
フィーは?
　
　
　
　
「A、デイヴィス、置いていくな」

「お前先に行かなかったか?」

「ずっと教室にいたよ」

『ごめん、フィー』

「ふぅん。やはりAは一位か。1年の頃はおかしいと思っていたんだ」

『あはは………』
　
　
　
　
1年生のときはまだ、呪縛から逃れられなくて
　
　
　
目立たないようにとテストはいつも手を抜いていた
　
　

だから十番どころか半分にも満たないときだってあった
　
　
　
それをデイヴィスがいつも叱ってきていたけど
　
　
　
僕は無視し続けた
　
　
　
　
　
でも、もう手を抜く必要はない
　
　
　
だって寮長になったんだから
　
　
　
これ以上目立つ役職はないよね
　
　
　
何かが吹っ切れて
　
　
　
伊達眼鏡を外して、顔がよく見えるようにした
　
　
　
今まで嫌いだった自分の顔
　
　
　
毎日のように
　
　
　
「汚い顔は隠せ」と言われ続けた顔
　
　
　
それが今は
　
　
　
先輩が毎日
　
　
　
「美しいよ」と言ってくれる
　
　
　
デイヴィスが
　
　
　
「せっかく美しい顔をしているのに隠すな」
　
　
　
と言ってくれる
　
　
　
　

　
今は、自分の顔がけっこう好きだ
　
　