ふたりきりの暗闇 ページ28
吹き付ける風が事務所の窓ガラスを揺らす。
何を話すでもなく２人で外を眺めていた。
…気まずい。なにか話題を振ろう。
「今度神宮寺くんがみんなで出かけようって言ってたよ」
「あー、俺も誘われた。遊園地行こーって」
「紫耀くん行くでしょ？」
「うん。仁村さんは？」
「行けたら行こうと思ってる。
式の打ち合わせが入ってなければいけるかなーって」
「式の打ち合わせ…か…」
「そう。もう半年後だから少しずつ忙しくなってきたの」
「そっか…」
紫耀くんはそれきり黙るとまた外に目を向けた。
他人の結婚話なんて男の人にはつまらないか。
「今度は森本さんも行くって言ってたよ」
森本さん、最近は紫耀くんとも普通に接しているようで、神宮寺くんも心配のタネが減ったーって喜んでたな。
紫耀くんだって森本さんにも悪い印象を持ってないからこそ今も優しくしてるんだろうし、せっかくなら仲悪いよりも仲良い方が良い。
友達から発展する恋だってあるんだから。
と、森本さんの照れたような笑顔を思い出しながら名前を出してみたのに、
「…俺は仁村さんが一緒に行ってくれたらそれでいいよ」
帰ってきたのは予想外の言葉で。
落ち着いたはずの鼓動がまた速くなってしまう。
「私？」
「うん」
平然と返事をする紫耀くんに、形にならない感情が込み上げてくる。
どうして、そんなこと言うの？
人の戸惑うことばっかり言って。
「…紫耀くんて、罪な人だね」
溢れ出る感情を抑えることができずに言葉に出してしまった。
「罪？」
「私は彼がいるからなんとも思わないけど、そういう発言誰にでもするの気をつけた方が良いと思うよ」
「…」
言ってから言いすぎたと思った。けれど出てしまった言葉はもう戻せない。
でも、本当に気をつけなきゃ。
紫耀くん自身は自然に振る舞っていても相手は違う捉え方をするかもしれない。
忠告したつもりだった。
なのに、
「…誰にでも言うと思ってるの？」
ライトに照らされた紫耀くんは、真剣な顔で私を見つめていて。
射抜かれそうなその視線に囚われかけた瞬間、
スマホが震えた。
廉雨ヤバイ。駅から走って帰る
廉からのLINEに安堵したのも束の間、ライトが消え事務所はまた闇に包まれた。
会社にいること、廉に伝えなきゃ。
スマホのライトをもう一度点けようと手を伸ばしたその時、
「…羨ましいよ。
…悔しいくらい」
沈んだ声が、闇に響いた。
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こころ(プロフ) - 切なすぎて読むのが辛かなってきました…でも希望を捨てずに読みたいと思います(^ ^) (2021年5月28日 17時) (
レス) id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 更新嬉しいです！この先も楽しみにしています。紫耀くんの恋心が報われますように。 (2021年5月16日 3時) (レス) id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
そらぃ(プロフ) - ピナパルさん» 本当ですか！？なら良かったです^ ^話はそれますがこのお話大好きです！！めちゃくちゃいい話できゅんきゅんします！！お互いに更新頑張りましょ！！ (2021年3月14日 8時) (レス) id: 65c9099209 (このIDを非表示/違反報告)
ピナパル(プロフ) - そらぃさん» はじめまして。まったく気にしていないので謝っていただく必要ありませんよ！むしろわざわざ教えていただいてこちらこそ申し訳ありません>_<どうか気になさらず更新頑張ってください！(明るく言える立場じゃないのですが…) (2021年3月13日 16時) (レス) id: 9e85fabcef (このIDを非表示/違反報告)
そらぃ(プロフ) - 本当に申し訳ございません（涙）小説を私書いてるのですが、そのタイトルが桜が舞う季節になんですけどピナパルさんのこの小説とタイトルが似てしまっていて、、大変申し訳ないです…気付きませんでした。。差し支えがなければこのままにしますが…よろしいですか？ (2021年3月13日 13時) (レス) id: 65c9099209 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2019年12月29日 8時
