はじまりの記憶3ーRen ページ10
香澄とは言葉を交わすことなく、同窓会はお開きの時間になった。
「みんな今日はほんまにありがとね。久しぶりに会えて嬉しかったわ」
「いやいや！またこっち帰ってきたら集まろうや！今度は廉も飲もうな！」
「そーやな。また連絡するわ」
「おう！またな！」
そう言ってみんなとバイバイすると駅までの道を歩く。
すると、
「一緒に行こ」
自然と、香澄が隣にきていた。
「おん」
まぁ、女子ひとりは危ないし、ええか。
「びっくりした？」
「え？」
「私、来たから」
「…まぁ、来るとは思ってなかったな」
「あんな別れ方したらね」
香澄がフフッと声を漏らした。
…香澄には告白されて付き合った。
前から仲良かったし、可愛かったし、まぁいいかという理由で。今考えると軽すぎる。
しょうもなさすぎた俺。
ほんまに思い出すだけで嫌になる黒歴史。
半年付き合って、それなりの仲になったけど、ある日突然香澄に聞かれた。
『なんで廉は私と付き合ったん？』
『なんでって…』
『好きで付き合ってくれた？』
そう聞いた時の香澄の目には涙がいっぱい溜まっていて、俺は思わず言葉に詰まって黙ってしまった。
香澄はそれが返事の代わりと受け取ったらしく、溜まっていた涙がボロボロと零れ落ちた。
『やっぱり…私、廉の前カノに言われてん。廉は好きで付き合うんやないよ、可愛いから付き合ってるだけやって。
そうなんやね…』
『…いや…』
『もういいよ無理せんで。…私もかっこ良かったから好きになったんやし。本当、それだけやから。ありがとね今日まで。別れよ、廉』
香澄は走って俺の前から去っていった。
突然終わった半年の恋。
いや、突然やないか。香澄はずっと不安やったのを押し殺して俺と付き合ってきてた。
不安がピークに達した時、俺が決定打を与えてしまったんや。
申し訳ないことをした。
誰かを好きになる意味も理由も全然分からなかった、軽くて、適当で、最低やった俺。
もう俺には２度と会いたくないもんやと思ってた。
「…あの頃は、ほんまにごめんな」
そう言うと、香澄は足を止めた。
俺も止まって香澄を見ると、香澄はいきなり抱きついてきた。
「うわっ！なに？」
「……私、後悔してた」
「後悔？」
「廉と別れたこと。なんで振ってしまったんやろうって。せっかく付き合えたのに、自分から振るなんて馬鹿すぎやったよ」
香澄は、震えた声で呟いた。
「まだ、廉のこと好きだよ」
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愛 - 続きはまだでしょうか？急かしてるわけではなく、純粋にこのお話が好きすぎて続きが気になるんです！更新待ってます。 (2019年7月26日 23時) (
レス) id: 88c3d5de1a (このIDを非表示/違反報告)
すこ - 引き込まれました。キャラクターたちの心情を、一人ひとり大事に大事に書かれてるように思います。切なくて、でもお互いを大切に思っていて、すごく素敵な作品だと思います。次の更新を楽しみにして待ってます。 (2019年7月4日 1時) (レス) id: ca0d230652 (このIDを非表示/違反報告)
atu66mi67yu129(プロフ) - 更新ありがとうございます。廉くんとは…ならないんですかねぇ…これからも楽しみに待ってます。頑張ってください。 (2019年7月3日 7時) (レス) id: c65eb063a4 (このIDを非表示/違反報告)
シー(プロフ) - 1から6まで一気に読んだくらい本当に面白いです！更新頑張ってください！！ (2019年7月1日 7時) (レス) id: dfd347ea96 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - こんなに引き込まれた小説は久しぶりで、一気に読みました。続きを楽しみにしています。 (2019年6月11日 14時) (レス) id: e8aeac1cf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2018年10月22日 8時
