私の幸せ１３ ページ45
「久し…ぶりだね…」
何年振りだろう。
高校を卒業してすぐに一人暮らしを始めて以来会ってなかった叔父さんは、少し白髪が増えた以外は以前と変わらないまま。
「お久しぶり…です」
頭を下げると隣にいたももちゃんが不思議そうな顔をして私と叔父さんを交互に見ていた。
「元気…かい？」
「はい…」
一緒に暮らしていた間柄なのにぎこちない。
叔父さんには挨拶もそこそこに引っ越してしまったから、正直言って合わせる顔がなくて、引っ越してから一度も連絡を取ってなかった。
この街に戻ってからも、できれば会いたくなくて、安永の家から遠い地域に住んだのに、、
「その子は？」
「…娘です」
「そうか…結婚してるんだね…」
「……」
返す言葉が浮かばなくて口を噤む。
未婚の母となったことをもしも叔母さんに知られたら…なんて言われるかわからない。
「この辺りに住んでるのかい？」
「…はい…。叔父さんは…どうして？」
「あぁ、仕事でこのあたりに用があってね、帰るところだったんだ」
「そう…なんですか…」
今はとにかくこの場を去りたい。
余計なことを知られる前に。
「叔父さん、お元気そうで良かった…
…叔母さんも…お元気ですか？」
叔母さん、と口にしただけで胃が痛くなるほど、叔母さんとの過去は、苦しい記憶だった。
もしも叔母さんがももちゃんのことを知ったら、ありとあらゆる暴言で私を攻め立てるだろう。
そんな姿みたらきっとももちゃんは傷付く。
せっかく天真爛漫に育ってくれてるのに、悪い記憶を残したくない。
不安が高波のように押し寄せ、今にも動悸を起こしそうだった。
「あ、あぁ…彼女は…
離婚したんだ」
叔父さんが遠慮がちに発した言葉が、一瞬頭に入ってこなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 978人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「平野紫耀」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
愛 - 続きはまだでしょうか？急かしてるわけではなく、純粋にこのお話が好きすぎて続きが気になるんです！更新待ってます。 (2019年7月26日 23時) (
レス) id: 88c3d5de1a (このIDを非表示/違反報告)
すこ - 引き込まれました。キャラクターたちの心情を、一人ひとり大事に大事に書かれてるように思います。切なくて、でもお互いを大切に思っていて、すごく素敵な作品だと思います。次の更新を楽しみにして待ってます。 (2019年7月4日 1時) (レス) id: ca0d230652 (このIDを非表示/違反報告)
atu66mi67yu129(プロフ) - 更新ありがとうございます。廉くんとは…ならないんですかねぇ…これからも楽しみに待ってます。頑張ってください。 (2019年7月3日 7時) (レス) id: c65eb063a4 (このIDを非表示/違反報告)
シー(プロフ) - 1から6まで一気に読んだくらい本当に面白いです！更新頑張ってください！！ (2019年7月1日 7時) (レス) id: dfd347ea96 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - こんなに引き込まれた小説は久しぶりで、一気に読みました。続きを楽しみにしています。 (2019年6月11日 14時) (レス) id: e8aeac1cf5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ピナパル
| 作成日時：2018年10月22日 8時
