私の幸せ14 ページ46
「離婚?」
「あぁ…Aちゃんが出て行ってすぐにね…」
信じられない。
どうして…
叔母さんは叔父さんのことが大好きで、だからこそ私が疎ましくて仕方なかったはずなのに…私が出て行ってすぐに離婚したって…
疑問が止まらなかったけれど、気まずそうに目を伏せた叔父さん
「Aちゃん、近いうちに良かったらまた会えないかな?
渡したいものがあるんだ」
「渡したいもの?」
「あぁ、どうしても渡さないといけないものでね。うちの電話番号は変わってないから、、」
どうしても…?
「……わかりました。また連絡します」
「ありがとう、それじゃあまた」
「また…」
叔父さんは軽く会釈をして去ろうとして、ももちゃんの前にしゃがんだ。
「ごめんね。挨拶してなかったね。僕は、小さな頃から大人になるまで、君のお母さんと一緒に暮らしてたんだ。
お名前はなんて言うの?」
ももちゃんは握っていた手を更に強く握ると、不安そうに私を見上げた。
「お名前、言ってごらん?」
微笑んで見せると、堅く結んでいた唇が綻び、ももちゃんは笑顔になった。
「やすながももかです!」
「…そうか、ももかちゃんか。よろしくね」
「うん!!」
叔父さんはももちゃんの頭を撫でると、私に会釈して去っていった。
変わらない優しい叔父さんのままだ。
ママ、あのおじさんと一緒に暮らしてたのー?」
「…うん。おばさんも一緒にね」
「パパとママじゃなくて?」
「ママはももちゃんよりも小さな頃にね、叔父さんと叔母さんに預けられたんだ。それからママには会ってないから…」
「へー…初めてきいたー」
「ふふっ
初めて話したからね」
できれば話さずにいたかったけれど、、
良いタイミングだったのかもしれない。
お友達の家にはばーばとじーじがいるのに、自分にはいないことを、きっと不思議に思ってただろうから。
「ママは、ママとパパに会えなくて寂しくなかったー?」
「…ちょっと、寂しかったかな。
でも…他に幸せなことがあったから、大丈夫だったよ」
「幸せなこと?」
「うん。寂しいって気持ちよりもたくさんの愛をくれた人がいたの」
「どんな人ー?」
「……ももちゃんに、そーっくりな人」
言いながらももちゃんを抱きしめると優しい香りに包まれた。
その香りに癒されながら、頭の中では叔父さんの言葉が繰り返されていた。
…どうしても渡したいものって、、なんだろう…。
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愛 - 続きはまだでしょうか?急かしてるわけではなく、純粋にこのお話が好きすぎて続きが気になるんです!更新待ってます。 (2019年7月26日 23時) (レス) id: 88c3d5de1a (このIDを非表示/違反報告)
すこ - 引き込まれました。キャラクターたちの心情を、一人ひとり大事に大事に書かれてるように思います。切なくて、でもお互いを大切に思っていて、すごく素敵な作品だと思います。次の更新を楽しみにして待ってます。 (2019年7月4日 1時) (レス) id: ca0d230652 (このIDを非表示/違反報告)
atu66mi67yu129(プロフ) - 更新ありがとうございます。廉くんとは…ならないんですかねぇ…これからも楽しみに待ってます。頑張ってください。 (2019年7月3日 7時) (レス) id: c65eb063a4 (このIDを非表示/違反報告)
シー(プロフ) - 1から6まで一気に読んだくらい本当に面白いです!更新頑張ってください!! (2019年7月1日 7時) (レス) id: dfd347ea96 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - こんなに引き込まれた小説は久しぶりで、一気に読みました。続きを楽しみにしています。 (2019年6月11日 14時) (レス) id: e8aeac1cf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピナパル | 作成日時:2018年10月22日 8時