約束２ーRen ページ32
「ママの…幸せ？」
俺を写す丸い瞳。
その目からこぼれ落ちる涙を指で拭うけれど、拭っても拭っても涙は止まらない。
「Aさん、もものためにこれまでたくさん頑張ってきた。
ももは、一番近くで見てたから、ママが頑張ってたこと、知ってるよな？」
「…うん」
「ママが、なんかやりたい、欲しいって言ってるの見たことある？」
「…ない」
「せやろ？
れんれんとの結婚をやめたのはな、
ずーっと頑張ってきたママが、初めて言った自分の願い事を叶えるためやねん」
「……ママの…願い事？」
「ママの願い事はな……」
言いながら、胸の奥に鋭い痛みが走る。
認めたくないこと。認めるしかないこと。
認めさせたのは、他ならぬ俺自身。
「…ももには、難しい話やな。
せやけど…ももには、Aさんの一番の味方でおってもらいたいんよ」
「……」
「離れたって、れんれんはももの一番の味方や。
どこにおっても、なにしてても、ももをいつでも想ってる。
…信じてくれる？」
「…うん」
「ももが、一番大好き」
「うん」
「ももが…一番大事」
言いながら、頬に涙が伝うのを感じた。ももの手が伸びてきて、優しい手つきで俺の頬を拭う。
「一生、ももの味方や」
「…うん」
「ももは、
ママの一番の味方でおるって、約束してくれる？」
「……約束する」
「ええ子や、もも」
柔らかい髪を撫でると抱きしめた。
抱き返してくる力が強くなった。ベンチにもしっかり座れるようになって。
ほんまに…成長したな、もも。
＊ ＊ ＊ ＊ ＊
荷物を積み終えたトラックを見送ると、手荷物をまとめたカバンを肩にかけた。
玄関先まで見送りに来てくれた２人を振り返り見る。
「それじゃあ、行くね」
「…うん…」
２人の潤む目を見ていられなくて、視線を逸らすと笑って見せた。
「湿っぽいのはやめよう！
笑顔で、お別れしよう。な？」
Aさんは唇を噛み締めると、細かくうなづいて微笑む。
「気をつけてね。大阪でも…頑張って…」
「ありがとう。Aさんとももも、身体に気をつけて元気でな。
…もも」
しゃがんでももの目線に並ぶ。
「約束、守ってな？」
「うん」
「れんれんの声聞きたくなったらいつでも電話してな？」
「うん」
素直にうなづく姿に目頭が熱くなる。
これ以上は、あかん。
月並みな別れでいい。
２人に背を向けると、玄関のドアを開けた。
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愛 - 続きはまだでしょうか？急かしてるわけではなく、純粋にこのお話が好きすぎて続きが気になるんです！更新待ってます。 (2019年7月26日 23時) (
レス) id: 88c3d5de1a (このIDを非表示/違反報告)
すこ - 引き込まれました。キャラクターたちの心情を、一人ひとり大事に大事に書かれてるように思います。切なくて、でもお互いを大切に思っていて、すごく素敵な作品だと思います。次の更新を楽しみにして待ってます。 (2019年7月4日 1時) (レス) id: ca0d230652 (このIDを非表示/違反報告)
atu66mi67yu129(プロフ) - 更新ありがとうございます。廉くんとは…ならないんですかねぇ…これからも楽しみに待ってます。頑張ってください。 (2019年7月3日 7時) (レス) id: c65eb063a4 (このIDを非表示/違反報告)
シー(プロフ) - 1から6まで一気に読んだくらい本当に面白いです！更新頑張ってください！！ (2019年7月1日 7時) (レス) id: dfd347ea96 (このIDを非表示/違反報告)
もこ(プロフ) - こんなに引き込まれた小説は久しぶりで、一気に読みました。続きを楽しみにしています。 (2019年6月11日 14時) (レス) id: e8aeac1cf5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピナパル
| 作成日時：2018年10月22日 8時
