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五歳で両親を亡くして、おばあちゃんに育てられた
かなりのショック、何故か涙が出てこなかった

廃人のような目をした私を見かねたのか、
半ば無理やりに連れて来られたのがスケートリンク

おばあちゃんは私に無理やり靴を履かせ、リンクにぶん投げた
勿論すっころんだ、顔から

何をするのかと、取り敢えず文句を言おう振り返ると、

「痛いやろ、泣いてええよ」

堰を切ったように、不思議と涙が出てきた
痛いのと、怒りたいのと、多分悲しいので、大量に出てきた



「キラキラした服、似合うねぇ」
ここで言うおばあちゃんの“キラキラした服”は、スケートの衣装

私がやりたいと言うわけでもなく通い始めたスケート
初めて大会に出た時、演技中に見つけたおばあちゃんは泣いていた

結果は三位。初めてにしてはと思ったけど

「へったくそやったなぁ、ばあちゃんのが上手いわ」



小学校五年生、年間の大会で全て優勝した
周りからは「天才」「逸材だ」「秀才だ」と言われていたが、

「綺麗なのに、色気がないよねぇAちゃんは」

十一歳に色気を求めるんじゃねぇ。口には出していない



若干遅めの成長期が来て、滑れなくなった
成長痛と、滑れないのが辛くて、おばあちゃんに当たった

「スケートの神様が、Aが綺麗に見えるようにしてくれとるんよ」

しわしわの手で、私が寝付くまで撫でてくれた



中学卒業後、高校生になっても、スケートを続けた
おばあちゃんは、恋バナがしたいなんて言い出した

「恋したら、幅が増えるって先生言うてたやろ」

何となく、角名の顔が浮かんだりした



高校二年、四月、102歳、おばあちゃんは亡くなった
「絶対にピンピンコロリやわ」言葉通り、前日は元気だった

102歳にしては元気すぎるおばあちゃんだった
泣きながら、おばあちゃんの好きなプログラムを必死に滑った



五月、コーチに呼ばれてついていくと、見たことある外国人がいた
メダリストを何人も輩出している海外のコーチ

内容は、母国で育て上げたいとの事だ
おばあちゃんが連れてきた気がして、二つ返事で決めた









六月、角名に告白してみた
言ってみると恥ずかしすぎて、日誌を書くふりをした

「冗談きっつ」

おばあちゃんコイツ殴っていいかな



三日後、伝え方が悪かったのか、完全に嫌われた
よくよく考えれば人に想いを伝えるなんてことは人生初だった



“そりゃそうか”



「好きなの辞めるね」

氷の上でも散々してる。演技は得意なんだ。

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設定タグ:ハイキュー , 角名倫太郎 , 稲荷崎   
作品ジャンル:恋愛
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つばき - Helloでは…まあいいや、あなた様のお話とても好きです!応援してます! (2021年1月6日 19時) (レス) id: 7e989e701c (このIDを非表示/違反報告)
サクサくぱんだ(プロフ) - 今更ながら読ませていただきました…凄く面白くて好きなお話です(;_;)連載中の作品も頑張って下さい!応援しています!! (2020年9月19日 6時) (レス) id: 486bda84af (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - kikiさん» 凄く嬉しいです。そう言って頂けて本当に力になります。好きです(?) (2020年7月23日 20時) (レス) id: 94b0078aea (このIDを非表示/違反報告)
kiki(プロフ) - このお話を読み終わってから現実に中々戻れずふわふわしました。それくらい引き込まれました。大好きです。 (2020年7月22日 21時) (レス) id: 71858a7723 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年4月20日 7時

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