ハーツラビュルの寮のアリス２ (ページ6)

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『誕生日も学校行事も母は仕事で、社長になってからは一度も一緒に過ごしたことはありません。

お手伝いさんが母の代わりに来てくれただけ。』

『小さいながらに思ったんです。
母からもらったプレゼントを大切にしていたら、いつかお母さんが褒めてくれるって。

まぁ、一度もそんなことなかったんですけどね。』

リドル「・・・」

『毎月振り込まれるお小遣いとテーブルに置いてある夕食代。

これが母からの愛情を確認できる手段。

でも、不思議と、、アリスを読んでいると
本を買ってくれた時の優しい母の表情が思い浮かんで、母と繋がっている気がするんです。』

リドル「そうか、、辛いことを言わせて申し訳なかったね。」

『あ、、いえ、、、私こそこんな重い話してごめんなさい。

まぁ、アリスが好きな理由は、物語の絵が可愛いのと、頭の狂った奴らの中でも冷静に、時には勇敢に立ち向かう姿に憧れたからですけど、、

あ、ここではハートの女王の敵ですよね、、』

リドル「構わないよ。君の世界の話だ。
そこで長年暮らしたんだから、君はそのままでいい。

そろそろ、元の世界に戻りたいんじゃ無いのかい？」

寮長に問われて、すぐに答えが出なかった。

正直、戻っても母のいない静かな家と
退屈な日常が待ってるだけだった。

『・・・そうですね。
ユウのためにも早く戻る方法を考えないとですね。』

リドル「彼は学園長を頼りにしているようだが、
多分、忘れてると思うけど。」

『やっぱりそう思います？
あの人全然探す気ないですよね？？』

リドル「そういう人だよ。

さぁ、もうすぐ暗くなる。寮へおかえり。
僕はもう少し、ここでゆっくりするから。
今日はAの話を聞けて良かったよ。ありがとう。」

『いえ、こちらこそ。
では、失礼します。』

私は白ウサギに案内してもらって、寮に戻った。

リドル「・・・いるんだろう？
立ち聞きはよくないよ。」

トレイ「バレてたか。すまない。」

リドル「その様子だと、Aのことだね。」

トレイ「あぁ。ここにくる前に、私と関わると面倒ごとに巻き込まれますから。って言われてな。」

リドル「・・恐らく、寮生がろくでも無いことを話しているのを聞いたんだろう。

無理はない。彼女は異世界からやってきて、ただでさえ不安なんだ。
話を聞いていたのならわかるだろうが、彼女は孤独を嫌っている。

元の世界に戻りたい。というのも本心では無いと思う。」