83話 ページ36
『すみません。
このお店でよかったですか?』
拓也さんは笑顔でうんと頷いてくれた。
軽く食べられるし、退院後の拓也さんにも丁度良いだろうと
中国粥のお店にした。
お互い注文をすまし、お粥が来るまでの間、
何を話そうかと私は焦っていた。
ちらっと拓也さんを見ると、
店内のマニアックな中国雑貨を興味津々に見ていた。
まぁ、楽しそうで良かった。
『拓也さん。いつ頃から発声していいんですか?』
拓也さんは携帯を取り出し、書き込んでいた。
「手術後に言われたのは1週間後、あまり無理をしてはいけないって
でも、刺激物やなければご飯も食べられるし、飲み物もオッケー!
お酒は控えてとはいわれたけどな〜(笑)悲しい。。」
『そっか、ご飯食べれるのはよかったですね!
お酒は、、これを機に控えたらいいのでは?』
拓也さんは私の言葉に泣き真似をした。
「瑞輝少しやせた?」
『そうですか?家に体重計がないので測ってないですが、、』
「痩せたっていうより、やつれてる気がする
ちゃんとご飯食べてるか?
俺に合わせてお粥のお店やけど、お肉とか食べなあかんで」
『やつれて、、ああ、私顔から痩せるんですよ!
最近、仕事を増やしてもらって、、あ、そうだ!
今度ヨルジュウのMCの仕事来たんですよ!
好きな番組だったので嬉しいです!』
「ほんまに!!エフ売れてきたなぁ〜
でも、仕事を詰め込みすぎるのは体に毒やで」
『なんか、仕事をしてないと不安だったんです。
今のバンドを引っ張っていくのは
フロントマンである私の仕事だし、
みんなが音楽活動を続けられるように、
エフをもっと広めなきゃ、歌ももっと練習して、
だから、その為にも私が頑張ろうって
拓也さんにも生意気に待ってますとか
一緒にライブしてくださいとか宣言してしまったんで』
そう笑顔で拓也さんの顔を見ると、
拓也さんは何とも言えない顔をしていた。
私の顔からも笑顔を消えた。
「瑞輝、それは違うで。
バンドが成長するには自分一人だけではだめや、
皆で作っていかないかん。
自分だけが頑張っても意味がないんや。
瑞輝の考えていることも痛いほどわかる。
でも、俺はそれで無理をして喉をやった。
お前にはそうならんででほしい。」
拓也さんが力強く私の手を握った。
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みず(プロフ) - 無糖さん» ありがとうございます!!嬉しいです!更新頑張ります。 (2019年11月21日 13時) (レス) id: 491c56684a (このIDを非表示/違反報告)
無糖(プロフ) - 面白くてついついイッキ見しちゃいました!これからも更新楽しみにしてます、、! (2019年11月20日 22時) (レス) id: eafff6591e (このIDを非表示/違反報告)
みず(プロフ) - 。さん» すみません。確認不足でした。ご指摘ありがとうございます。 (2019年10月28日 20時) (レス) id: 4664cd757d (このIDを非表示/違反報告)
。 - オリジナルフラグくらいちゃんと確認しましょーよ (2019年10月28日 20時) (レス) id: aa51b2520e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みず | 作成日時:2019年10月28日 10時