Fから始まる物語２

84話 ページ37

『自分だけが頑張っても意味がない、、』

梅ちゃんに言われた言葉を思い出した。
「そういうのは皆でしないと、、」

新アルバムのレコーディング終了の日、
龍哉から電話が来ていた。

龍「お疲れ、スケジュール終わりか？」

『お疲れー！今、取材終わったよ！
皆、レコーディング終了したんよね？』

龍「うん、みんなそれぞれ取り終わったよ。
でも、予定より時間が伸びたんだ。なんでだと思う？」

『？？どこか変えたの？』

龍「違う。みんなお前について行こうと必死なんだ。
お前のレコーディングの声を聴いて、
みんながこんな音じゃだめだって言って撮りなおした。
正直、クオリティを上げるのは賛成だし、
そこは皆の技量を上げることになるから良いだけど。

でも、問題はそこじゃない。
皆戸惑ってる。俺たちを見ずに前に進むお前に。」

『そんな、つもりは、、』

龍「わかってる、、つもりでいたんだ俺は。
お前が今、何を考えているのか、ちゃんと話してくれ
スケジュールを増やして、俺らと会ってないだろう
バンドはお前だけじゃない、皆でやっているんだ。」

『ごめん』

龍「今度のミーティングの時でいい。
俺たちにお前が何を考えているのか話してくれ」





『龍哉に、、お前が何を考えているのか
わからないって言われたんです。』

『新アルバムのレコーディングで
皆が私についてこれなくて、レコーディングで何度も
撮りなおして時間が伸びたって』

『私が勝手に焦って、仕事を増やして
メンバーと会う時間が少なくなって、
でも、皆は分かってくれてると勝手に思ってた』

『それでも、私がやってることは
皆につながると思って、、不安だったんですよ
もっとバンドを成長させて、活動しないと
みんなが音楽活動できなくなるかもって考えたら』

拓也さんが、強く手を握った。
そして力強い目で私を見てくれた。

「瑞輝が全てを背負う必要はないんやで
そういう不安はみんなで解消すればいい

俺もおるんやで？一人で抱え込んだらいかん。
大切に思ってるものも壊れてしまうよ？」

私が間違っていた。
皆に謝らなきゃ。



拓也さんの手をそっと握り返した。

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