詩人と魔術師【チョリス】 (ページ1)

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介抱ページ1

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　大家は学校、ベトは「ギョーザーの具を買いにいく」と言い、モツとシューベルトはそれに着いていった。

　館にいるのは僕ーーーフレデリック・フランソワ・ショパンと、朝帰りで玄関に倒れる彼女ーーーフランツ・リストだけ。

　自分以外に彼女を助けてやることができない状況に、僕は半ば絶望していた。

　絶望というと少し大袈裟かもしれないけれど、それ以外ににピッタリな言葉がどうにも見つからないのだ。

　というのも、僕は女性一人抱けるような筋力すら持ち合わせておらず、どう足掻いたとしても二階にある部屋に彼女を運べるとは思えない。

「リスト……大丈夫……？」

　だから、僕は玄関で倒れたままのリストを揺さぶることしかできないのであって。

「どうしよう……」

　広い音羽館に、虚しく消える声。

　しかし、頭をどう働かせようにも彼女を部屋へ運ぶ方法は思いつかない。

　……ちょっと待っててね、フランツ。

　そう呟いて、僕は取り合えず浴室へ向かう。

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