第7話 ページ10
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がやがやと賑わう昼の食堂。
私はコロッケ定食を手に、萩と陣平の幼馴染二人を探す。
お手洗いに寄るから先に行っててとは言ったものの、この昼時で混雑している食堂で探すのはかなり困難だった。
「お!尚ちゃん、こっちこっち!」
「萩!探したよ…!」
諦めて一人で食べようかと思ったあたりで、萩が私を見つけて声をかけてくれた。
ラッキー!とその声した方へ近づくと、彼の周りには女の子達がいて一緒に昼食を食べていた。
確か、同教場の子達だったような……
興味があればいくらでも覚えることが出来る一方で、逆に興味の無いことは全然覚えられないタチの私は、まだ同じ教場の人の顔と名前を覚えていなかった。
まあ、同じ班になったあの五人──内二人は幼馴染だが──は、キャラが濃すぎるためかすぐ覚えられたのだが。
「ホラ、ここおいでよ」
ぼさっと突っ立っていると、萩は
「ん、こっち空いてるからいい」
そう言って断ると、私は陣平の隣の空いている席に座った。
そっか〜、と言って萩は少し残念そうな顔をしたが、椅子を持ってくるのも面倒だし、わざわざ隣に座る必要もない。
……心做しか女の子達の視線も痛い気がしたので、少し遠慮したのもある。
あれ、私何かしたっけ?
そう考えながら席に座ると、斜め前にはよく目立つ金髪が味噌汁を啜っているのが視界に入った。
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作者名:りもねん | 作成日時:2022年5月28日 14時