第8話 ページ11
◇
｢……あれ、降谷？なんか意外｣
ふと、陣平の目の前に座る人物に目を向けると、そこには昨日彼と喧嘩していた降谷がいた。
わざわざ一緒にご飯を食べるなんてやっぱり気が合うんじゃ……と思ったが、口に出したら彼らに睨まれる未来しか見えないので言葉を飲み込む。
｢ああ、彼は警察官が嫌いだったはずじゃないかと思ってね｣
｢あ〜、二限目のことね……｣
どうやら降谷は、陣平が警察を嫌っている癖に警察官の職務倫理の基本を完璧に言えた事を疑問に思っていたらしい。
そして席を探している時に偶然陣平を見つけたものだから、丁度いいと声を掛けたのだそうだ。
その二人が先程まで話していた内容を教えてもらうと、私は思わず吹き出す。
ツンデレって……！
まさにぴったりな言葉のチョイスに笑いが止まらず、まだ腹を抱えてる私を"
｢ふふふっ……降谷、よく分かってるね……確かに陣平はツンデレ｣
｢はぁ？！お前ら頭湧いてんのか？！｣
ちげーし！と騒ぐ、少し弄ればすぐ暴言が飛んでくるような
降谷も、だろ？とニヤついていて、それを見た陣平はまた額に青筋を増やす。
あ〜このコロッケ、サクサクしてすごく美味しいなァ。
｢でも、何故あんな完璧に覚えてたんだ？｣
｢どやる為｣
｢……お前ってそういう奴だったわ｣
ひとしきり笑ってから降谷が尋ねれば、陣平は何故か自慢げな表情で言う。
やっぱり思考回路がガキな幼馴染に呆れる私と、苦笑いで口元をひくつかせる降谷。
動機は不純だけど、それも陣平らしくて段々と笑みが零れた。
｢まあ……警察がクソ食らう前に、陣平はさっさとカレー食べちゃいな｣
｢クソとカレー一緒にすんな｣
時間無くなるよと急かすと陣平は、わあってるよ…！と言って残りのカレーを頬張る。
未だ手元が止まっている降谷を横目に、私も陣平に対抗して勢いよくご飯を掻き込んだ。
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作者名：りもねん | 作成日時：2022年5月28日 14時
