反対色な僕ら【降谷零】 (ページ7)

今日:10 hit、昨日:23 hit、合計:29,833 hit

第4話ページ7

◇

走り出してから少しすると、よォ…と私と陣平の間から襟足長めのチャラい男が顔を覗かせる。

｢何だよその面、色男が台無しじゃねぇか…｣

｢うるせぇよ、萩……｣

彼は私達の幼馴染である萩原研二。
陣平の差し歯がないのに気づくと、超ウケるゥー♪などと言って余計に彼を煽る。

｢ほんと、昨日はびっくりしたよ……｣

｢あれ、尚ちゃんも参戦してたの？｣

｢そんなわけないでしょうが……！偶然通りかかっただけだよ｣

｢夜間に寮抜け出してる時点で同罪だけどな……｣

横から茶々を入れるのは、昨日の喧嘩の一部始終を見ていた恨みだろうか。

うるさい、と言って陣平を睨みつけると、萩はまるで馬を扱うかのように｢どうどう…｣と宥めてきた。

｢まあ、尚ちゃんの不眠症も早く治ればいいんだけどね……添い寝してあげよっか？｣

｢ハハ……遠慮しとくわ、この女たらし｣

冗談めかして言う萩に、私は舌をべーっと出す。
不眠症が治らなくて困っているのはそうだが、添い寝はガチで要らない。

コイツは本当に、女の子に節操がないから時々心配になる。

私にはいつも冗談だから気にしてないが、いつか女に後ろから刺される気がしてならない……
夜道は気を付けろよ。

｢んで？どっちが勝ったんだ？｣

私の心配を他所に、萩は話を急に戻してきた。
それに対して陣平は、そりゃー当然……と自信ありげな顔をする。

｢俺だ！｣
｢僕だ！｣

突如湧いてきた金髪に、私はビクッと肩をゆらす。
陣平はあからさまに嫌そうな顔をした。

｢はあ？テメェ、殴られすぎて頭いっちまったんじゃねーか？｣

｢それは君だろ？｣

｢おい、お前ら…何があったか知らねーが……｣

言い争いが始まってしまった二人の元へ、後ろから伊達班長が追いついてきてガシッと肩を組む。

｢次は…俺も混ぜろよ！｣

班長まで喧嘩に混ざるのは勘弁だ……！
心の中でそうツッコミを入れていると、たった数日でもう聞き慣れてしまった怒声が響いた。

｢コラ！きさまら、真面目にちゃんと走れ！｣

どうやら騒がしくなっていたようで、鬼塚教官に喝を入れられたのだ。

相変わらず陣平と降谷はムスッとしたままだが、私達は何事もなかったかのように走り始めた。