第13話 ページ16
◇
私達の制止も虚しく陣平は既に降谷の目の前に立っていて、あろう事かまた喧嘩腰で話しかけていた。
「よォ…パツキン大先生は授業中だけじゃなく、放課後も優等生ってか?」
「…!松田……君が図書館にいるなんて、今日は雪でも降るのか?」
俺がここにいちゃ悪ィか?と青筋を浮かばせる陣平は相当短気だ。
いや、降谷の煽り性能も結構高い。
昼に会話した時もあれ?と思ったのだが、言葉のチョイスとかが少し皮肉を帯びているというか、なんというか……
もしかしたら彼は、優等生の皮を被ったただの不良なのかもしれない。
「つーか……昨日の勝敗も分かんねぇようなら、もう一回テメェをぶっ飛ばしてやってもいいんだぜ?」
「勝敗が分かってないのは君だろう?こっちのセリフだよ…!」
おっと、そう思ったしりから売り言葉に買い言葉で喧嘩が勃発しそうになっている。
降谷も開いていた本を閉じて立ち上がる。
落ち着け、という私達の声は彼らの耳にこれっぽっちも届いていないようで、表出やがれ!と言いながらも今すぐこの場で殴り合いそうな勢いだ。
近くにいた人も何事だとこちらを覗き込み始め、それでも話を聞かない二人に私は苛立ちが限界を迎えていた。
「いい加減にしろってば!ここ図書館!!」
「「いででででッ!!!」」
「ちょ、尚ちゃんも十分声でかいよ!?」
二人の頬──もちろん怪我をしている側──を容赦なく摘んで引っ張る。
思わず出してしまった大声を指摘する萩の声も大概にでかいわ、抓られ痛がって叫ぶ声が響くわ、野次馬が湧いてくるわで辺りは騒然としていた。
最早カオス。
「おい、一体何が起きてるんだ?」
「なになに、どうしたの……?!」
このカオスな状況に
「ちょ、二人ともコイツら抑えるの手伝って!」
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作者名:りもねん | 作成日時:2022年5月28日 14時