第10話 ページ13
◇
萩に「どうしたよ?そんなに暗い顔して」と指摘されて、自分が暗い表情をしていたことに気付く。
諸伏も心配そうに眉を下げて私の顔を覗き込んできた。
「えっごめん、もしかして体調悪かった?」
「あっいや……大丈夫、なんでもない!」
気の所為だよ!と慌てて取り繕うも、十数年間一緒に過ごした幼馴染を誤魔化すことは出来ないようで。
確かに、私も訳あって警察のことをあまりよく思っておらず、陣平の気持ちが少なからず分かるのだ。
何故私もそうなのか、はまた別の話だが。
兎にも角にも、そんなことを考えていた所為か表情が暗くなっていたようだった。
ぽんっと突然頭に大きな手が乗せられ、わしゃわしゃと撫でられた。
「ちょっ……萩!」
やめろってば!と言っても無言で撫で続けられたので力ずくで引き剥がすと、萩はめんごめんご〜♪とおちゃらける。
コイツ殴っていいかな。
そう思いつつボサボサになった頭を整えながら萩を睨んでいると、上品にクスッと笑った諸伏が口を開いてこの茶番を終わらせてくれた。
「それじゃあ…何で松田は警察官になりたいんだろう?」
「あ〜、そこが謎なんだよな……」
諸伏の率直な疑問に、萩が首を傾げる。
確かに、彼から志望理由を聞いたことは一度もない。彼は何の前触れもなく、突然警察官をになると言い出したのだ。
「どうせアイツの事だから、くだらない理由なんだろうけどさ」
その言葉に萩は、間違いねぇ、とケラケラ笑う。
私もにやりと笑って見せると、諸伏も釣られてクスクス笑っていた。
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作者名:りもねん | 作成日時:2022年5月28日 14時