第11話 ページ14
◇
「あ、ちょっと図書館寄ってもいい?」
その日の夕飯を食べ終えた後、私は萩と陣平の三人で食堂から自室へ向かって歩いていた。
くだらない雑談をしている中、私は今日出た課題で資料が欲しいところがあったことを思い出したのだ。
おう、いいぜ!と二人から快く返事をもらい、私達は図書館へと方向転換した。
「で、何借りんだ?」
「ん〜課題の資料」
あーそんなのもあったなぁ、と頭の後ろで手を組んで言う陣平はちゃんと課題を提出しているのだろうか。
まあ昔から態度こそ悪いものの、提出しなければならないもの等はちゃんとしてたから心配することではないか。
忘れんなよ〜とふざけた態度で言えば、陣平は私にジトリとした目を向けてきた。
「へいへい……どっかのパツキン優等生みたいに真面目かよ」
今関係なくね?ってとこで彼を話題に出してきたことに私は思わず目をぱちくりさせる。
やっぱり本人が言うよりも嫌いじゃないのでは?と思ってにんまりすると、あんだよ?と彼は不機嫌を露にした。
まあ、今のところ顔を合わせる度に喧嘩腰で絡んでいくのでただの私の願望なのかもしれないけど。
毎度毎度騒ぎを起こされたらたまったもんじゃないので、あまり余計なことをしないように釘を刺しておいたが、それがどのほど効くかは分からない。
それはさておき、私は別に総代サマとは違って決して真面目だから勉強をしている訳では無い。
「ただの夜中の暇つぶしだよ」
「ちょっとちょっと……寝ない前提で話すのやめない?」
率直に答えれば、今まで私達の会話をただ笑って傍観していた萩が苦笑いで突っ込んできた。
えぇ……と不服そうな顔をすると萩は、お肌が荒れるとかなんだとか語り始める。
「おい萩、尚にその類の話は何言っても無駄だって」
「やっぱそうだよねぇ〜」
本人の目の前で堂々と貶してくる二人に、おいお前ら……と睨んでも全く効果は見られない。
育て方間違えちゃったかな〜とまるで母親のような口ぶりをする萩を殴って、私は駆け出した。
「もう二人なんて知らん!」
「お、おい……尚!」
204人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りもねん | 作成日時:2022年5月28日 14時