拾漆話 見学 ページ18
私が実弥お兄ちゃんの屋敷に訪れて半年経った、10月。私は9月20日生まれなので、もう11歳である。
もう何回目になるのか分からないくらい訪れた屋敷の門の前で、いつものように「ごめんくださーい」と声を上げる。すぐにバタバタと足音が聞こえてきて、今日は須磨さんか、なんて思った。
「Aちゃんいらっしゃい!」
「おじゃましまーす」
「どうぞどうぞ!」
実弥お兄ちゃんが屋敷に居ない時は大体、私は蝶屋敷かここを訪れる。ここ半年ですっかり顔馴染みになった須磨さんが屋敷に入れてくれた。
迎えてくれるのはいつも天元さんのお嫁さんだ。3人共個性が凄過ぎて、最近は足音だけで誰か分かる。
「天元様は稽古場にいらっしゃいますよー」
「やった。ありがとうございます」
須磨さんと別れて、これまた通い慣れた宇髄邸の稽古場に向かう。
そっと扉を開けると、すぐに赤い瞳と目が合った。
「こんにちは」
「おー。危ねぇから隅っこで見てろよ」
「はーい」
言われた通りに私が稽古場の壁際に座ったのを確認すると、天元さんはまた稽古を開始する。
彼は二刀流なので、使う木刀も勿論2本。
実弥お兄ちゃんの稽古を見てからカナエさんの稽古を見た時も大分違うと思ったけれど、天元さんは更に違いが顕著だ。
実弥お兄ちゃんによれば、彼は実戦では日輪刀に爆弾を仕込んでいるらしい。こんな屋内じゃとても爆発させられないから使っていないのだと思うけれど、いつか見てみたいなぁとも思う。
さて、何故私が宇髄邸に来たかというと、勿論天元さんの稽古の様子を見学する為である。
半年経った今でも、何度ねだっても、実弥お兄ちゃんは未だに稽古をつけてくれない。
だったら知り合いの人達の稽古の様子を見て技を盗んでしまおう! というワケである。実弥お兄ちゃんが厳しく言っているらしく、天元さんもカナエさんもしのぶさんも、稽古まではつけてくれないから。
本当は他の柱の人達の稽古も見学したいのだけれど、中々知り合う機会が無い。親睦会で会った感じだとそれぞれ性格が難しそうだったのも1つの理由である。
私が来て30分程経っただろうか、天元さんは稽古を終えた。来る前からずっと稽古していた筈なのに、涼しい顔である。
「お前ずっと見てて飽きねーの?」
「はい。面白いですよ、みんなのけいこ見るの」
「それなら良いけどよ」
110人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
瘉月(プロフ) - ゆずさん» 原作は悲しいこともありますが…それ以上に楽しいこともあるので、楽しみにしています! (2020年9月14日 21時) (レス) id: c566db76b6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 瘉月さん» ありがとうございます! 早く原作に入りたくてウズウズしているので、時間を見つけて更新しようと思います。 (2020年9月14日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
瘉月(プロフ) - 本当に面白いです!毎回見てます。頑張ってくださいね! (2020年9月14日 17時) (レス) id: c566db76b6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆず | 作成日時:2020年8月8日 21時