本当は逃げたくないけれど。

絶対に自分の味方だって思える人が居ると、心が軽くなる ページ17

「お、青城来たな。行くか」




そう言って歩き出そうとするお兄ちゃんのシャツの裾を、ギュッと掴む。


怪しまれても良い、どうしても皆に会いたくなかった。




「・・・私、行かない」


「え、何で？」




顔を上げると、不思議そうなお兄ちゃんと目が合った。


その中の心配そうな色に気付いて、益々申し訳なくなる。




「・・・ゴメンね！」




そう言って、「あ、おい！」という抑止の声も聞かず、走り去ってしまった。








マネージャーさんが集まっている所には、行きたくなかった。


いずれ結愛ちゃんも来るだろうから。




音駒の皆の所にも、行きたくなかった。


きっと私今、酷い顔をしてる。


そんな顔で行ったら、皆優しいから心配する。




でもそうすると行く当てが無くて、どうしようかとウロウロしてしまう。


そうこうしている内に、及川さんと挨拶を終えたのであろうお兄ちゃんが走り寄ってきて、呆気なく捕まった。




「何で、いきなり逃げたんだよ」


「・・・」


「何で、青城の奴らと会わねぇんだよ」


「・・・」




こういう風に少し強く言ってくるのは、それだけ心配してくれてるって事で。


それなのに何も言えない自分が情けなくなって、目の奥が熱くなる。


泣かないようにと下唇を噛んでも、視界が歪んできてしまう。




ハア、と息を吐く音が上から聞こえる。


呆れられちゃったかな、と思っていると、いきなり頭に手を置かれた。


その手はそのまま、私の頭をグシャグシャと撫で始める。




「え、え？お兄ちゃん？」


「言いたくないなら良い」




でも、




「無理はすんな。話は聞くから」

兄ちゃん居ましたって何それ初耳→←男の友情ってなんか良いよね

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