佰拾肆話 それは、誰よりも真っ直ぐな心を持ち、鬼を屠る者 ページ16
現れたAに１番に声をかけたのは、それまで黙ってボーッとしていた長い髪の男の子だった。それまでの無表情から一変、目元が柔らかくなって口角が少し上がっている。
「久し振り、A。暫く屋敷に居なかったけどどこ行ってたの？」
「久し振り、無一郎。長めの任務に行ってたの。多分今日報告したら終わるよ」
「じゃあ明日お団子食べに行こう」
「うん」
そこで、男の子と会話するAの表情がひどく優しく柔らかい事に気付く。まるで可愛い弟でも見ている様な表情で、それは俺が今迄見た事の無いものだ。
何かに気を張っている様な匂いが消えてゆったりとしている。
「A」と呼ばれて、彼女は蛇を巻いた男の人に目を向けた。
予想はしていたが、Aはこの場の人皆と知り合いらしい。隠の人の態度からしてもこの人達は偉い人達なのだろうし、そんな彼等と知り合いとなるとAの階級はやっぱり相当上だ。もしかしたらこの人達と同じなのかもしれない。
「何ですか？」
「胡蝶から聞いたが、鬼を庇ったそうだな。事情を聞いてから罰は判断してやるから話せ」
「勿論お話しますけど……もう少し後で良いですか？ 実弥お兄ちゃんがまだ居ないし、お館様もそろそろいらっしゃると思うので」
Aはやっぱり笑顔で言う。さっきは俺の話を殆ど聞かなかった男の人も、Aの言葉にはそれ以上何も言わなかった。
それからAは、その人達と一通り挨拶を交わしてから俺に目を向けてきた。
「この人達は、鬼殺隊の中で１番位の高い�狠讚瓩辰討い�人達。私も含めて１０人なんだけど、まだ１人来てないみたい。で、何で竈門君が縛られてるかっていうと、鬼を庇うっていう隊律違反を犯したから。お館様がいらっしゃったら裁判が始まると思う。他に質問ある？」
「Aって階級１番上だったのか！？ 凄いな……って、そうじゃなくて、禰豆子は？ 善逸は、伊之助は？」
「禰豆子の居場所は私は知らないけど、多分しのぶさんが知ってる。我妻君と嘴平君は蝶屋敷で療養中」
ありがとう、とお礼を言う。それに目を細めるAの名前がまた呼ばれた。
「知りたいことが沢山あるんだが……Aはそいつと知り合いなのか？」
「天元さん。はい、つい昨日まで一緒に行動してました」
「って事は、長期任務ってのはそいつとその妹の鬼を見張ることか？」
「えっ？」と声が出る。Aはそんな俺を気にせず、肯定する様に微笑んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 191人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆず(プロフ) - りりりさん» ありがとうございます！ 佳境に差し掛かっている掛け持ち作品がありペースは落ちていますが、そちらが終わり次第速くなると思います。 (2021年1月19日 18時) (
レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
りりり(プロフ) - 面白く、一気に読ませていだきました！更新がとても楽しみです。 (2021年1月19日 17時) (レス) id: bc9653ee41 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆず | 作成日時：2021年1月1日 14時
