マネちゃんは暗殺者 part２

電話とマネージャー ページ6

スマホが鳴っている。


アイツからかかってきた時にしか鳴らない曲なので、誰からなのかは容易に想像出来た。




でも、だからこそ、電話に出たくない。


けど、周りの人にスッゴイ見られてるから、出なくてはいけないんだろう。




それでも私が無視していると、苦笑いの夜久先輩が声をかけてきた。




「そんな頑なに出ないって事は、及川からか？」


「はい。この曲は徹だけです」




ため息混じりに言う。




今度は京治が話に入ってきた。




「A、相変わらず及川さん苦手なんだね」


「ん。あのハイテンション、着いていけない」


「分かる」




家が隣の京治と、年１でウチに来る徹は、何回か会った事がある。


それを思い出しているのだろう。




「でも及川さん、出なきゃかけ続けるだろ。出たら？」


「はぁ〜・・・うん」




大きく息を吐いて、体育館から出る。




「もしもし？何？」


『あ、A？あのさ、来週末って予定ある？』


「一応部活あるけど」


『それだけ？じゃあさ、宮城に来てくれない？』


「は？」




なんだ、唐突に。




『来週の土曜から月曜で、インターハイ予選があるんだよね』


「へ〜。で？」


『素敵に釣れない！あのさ、ウチ、マネージャー居ないじゃん？』




嫌な予感がしたが、気付かないフリをして話を続ける。




「だね。で？」


『・・・３日間だけ、マネージャーやってくれないかな〜、と』


「ヤダ」


『ソコを何とか！お願い！』


「大体私、学校違うじゃん」


『だいじょーぶ！監督に許可は取ってある』


「だが断る」


『良いじゃん！岩ちゃんも助かるよ！会えるよ！』


「うぅ・・・」




一兄の名前を出すとは卑怯な・・・！




『岩ちゃんのマネージャー出来るなんて、なかなかもう機会無いよ！』




駄目押し。


はいはい分かりましたよ。




「じゃあやるよ、うるさいから」


『やった！でも最後の一言は余計！』




言い終わった後で、ああやっちゃった、と思ったけど、後の祭り。


一兄に会えるって事だけ考えよう。

休みと料理→←自己紹介と言い方

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す