銀ノ魂篇/川の上と海の傍 ページ8
「沖を見な」
晋助に言われ、銀時は戦いながら目だけで沖を見る。
1艘の大きな船が浮かんでいた。
「船を用意してある。あそこまでいけば、敵も
その言葉に少なからず驚いた。まさかそんな事を言われるとはと、肩越しに晋助に目をやる。
「やり方は違えど、どうやら俺等とお前のやろうとしている事は同じらしい。なら利用できるもんは利用しねェと」
そして、銀時は目を瞠った。
「この通り、コイツは護り切れねェぞ」
晋助が手にしているのは、銀時が懐に入れておいた筈のものだった。
いつ取られたのだろうと考えて、取っ組みあっている時が思い当たる。あの時だ。
その時気づく。敵が随分少なくなっている事に。Aの姿はいつの間にか消えていて、仕事を果たしたからだと解ってしまった。
「まぁ、あそこまで泳げたらの話だが」
「高杉てめェ!!」
晋助は川に飛び込み、残された銀時に敵達が襲いかかる。
☆☆☆☆☆
陸奥が運んできたブツとは、神楽の娘の神流と思われた神楽だった。どういう事かというと、最初神楽の娘として紹介された神流は、幼い姿に化けた神楽本人だった。
で、松平が手配した腕利きの殺し屋とは、沖田総悟率いる元真選組だった。どういう事かというと、彼等は表舞台から姿を消し国にも法にも縛られない存在となっていた。要はマフィアになっていた。
「神楽ちゃん」
2年振りの地球で、神楽は膝を抱えていた。その背中に新八が声をかける。
「いや……神流ちゃんって呼んだ方がいいのかな」
神楽は無言のままだ。合わせる顔が無いし気まずいしで。
折角子供の姿で来たのに、新八どころか沖田にまでバレるとは。これじゃあ逆効果だ、ああムカつく。主に沖田に。
「僕はどっちだって気にしないよ。君が
「……相変わらずアルな、新八。余計な気ばかり回して。お前、ホントはもうとっくに……」
それなのに、新八があまりに変わらないから。本当は2年も経っていないのではないかと、昨日も万事屋で一緒に過ごしたのではないかと、そう思わせてくるから。
神楽は思わず、新八に言った。
「……私がバカだったアル。神流なんてもう呼ばなくていいヨ」
振り返った神楽の顔は、
「神楽婆でいいでしゅよ」
「神楽ちゃんでも神流ちゃんでもなかったァ!!」
しわくちゃでした。
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なのは(プロフ) - 更新しないですか?楽しみです!(>_<) (4月23日 0時) (レス) id: d007c1ae64 (このIDを非表示/違反報告)
いな - 面白かったです!最初から一気に読みました!これからの展開が楽しみです!! (2023年2月4日 10時) (レス) id: 200a1f85db (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 続きが気になって目が乾燥帯になってます、続きとかは、もう出ないんですか? (2022年8月9日 10時) (レス) id: c4efed8c6d (このIDを非表示/違反報告)
春 - 続きはもう出ないんですか?気になって夜しか寝れません (2022年8月8日 22時) (レス) id: 79fd85110e (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - わかさん» ありがとうございます、候補に加えさせていただきます (2021年8月31日 20時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2021年2月13日 0時