銀ノ魂篇/犯人 ページ31
「桂さんが……死んだ?」
もうアナウンサーが読み上げる原稿など頭に入ってきていなかった。
新八は茫然としながらも呟き、神楽は目を瞠る。
新八は沖田を振り返ると、「ウソでしょ?」と震える声で言った。
「あの人が……そんなのにやられるワケ……」
「やったのは反政府組織なんかじゃねェよ」
沖田はそうニュースを否定した。新八や神楽が否定して欲しかったのとは、違う部分をだけれど。
彼はポケットから写真を数枚取り出すと、2人に見せる。
「横流ししてもらった監視カメラの映像にも、堂々と映ってやがったよ。まるで、自らの犯行を誇示するかのように」
1枚の写真に写っていたのは、寝る時ですら目を開いたままの桂小太郎が、目を閉じ地面に倒れている様子。彼の周りには真っ赤な血。
そしてもう1枚の写真に写っていたのは、そんな小太郎に背を向け立ち去ろうとしている、赤く染まった刀を持つ男。
会った回数がそう多くはないと言え、新八にも神楽にも解る。その男とは、高杉晋助だ。
でも。それよりももっと2人を驚かせたのは、晋助の隣を歩く者の姿だった。
見慣れた黒髪、見慣れた後ろ姿。その肩には、やっぱり見慣れた黒猫。……吉田A。
☆☆☆☆☆
「あ、来た来た。遅かったね」
江戸の、とあるビルの屋上。貯水タンクに寄りかかって座っていたAは、歩み寄ってくる銀時の姿を見てそう声を上げた。
「仲間との別れの挨拶は済んだか」
続けてそう言ったのは晋助だ。彼は銀時に背を向け、下の街を見下ろしている。ターミナルの事故や総理大臣の暗殺事件で、すっかり大混乱の街を。
「見ろよ。江戸で祭りを拝むのも、コイツが最後になるかもしれねェぜ」
そんな彼の首に、銀時が木刀を向けた。
「高杉。お前ら一体……何をしやがった。コイツは……一体……」
自分達が江戸に戻ってきた途端に起こった、大きな2つの事件。しかもそれが起こったのは、別行動の最中。
今目の前に居る男が妹と一緒にやった事だと、銀時に思わせるのには充分過ぎる程だった。
「教団の次の狙いは地球のアルタナだ。奴等の手の内にある虚の肉体を完全復活させ不死の製法を手に入れるには、お前の持つ虚の心臓か地球の膨大なアルタナが必要だからな」
243人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なのは(プロフ) - 更新しないですか?楽しみです!(>_<) (4月23日 0時) (レス) id: d007c1ae64 (このIDを非表示/違反報告)
いな - 面白かったです!最初から一気に読みました!これからの展開が楽しみです!! (2023年2月4日 10時) (レス) id: 200a1f85db (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 続きが気になって目が乾燥帯になってます、続きとかは、もう出ないんですか? (2022年8月9日 10時) (レス) id: c4efed8c6d (このIDを非表示/違反報告)
春 - 続きはもう出ないんですか?気になって夜しか寝れません (2022年8月8日 22時) (レス) id: 79fd85110e (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - わかさん» ありがとうございます、候補に加えさせていただきます (2021年8月31日 20時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆず | 作成日時:2021年2月13日 0時