銀ノ魂篇/今はもう無い真選組の役目 ページ25
江戸を歩く3人の姿を電柱の陰から見つめる、メカメカしい奴が居た。
「かつて江戸を破壊しようとしていた男と、その男から江戸を護ろうとしていた男と、その妹が共に江戸に帰ってきた。間違いない。Aさんと万事屋の旦那、闇堕ちしちまった」
その風貌に似合わず、2次元と現実をごちゃ混ぜにした様な事を言う。その声は真剣だ。
「俺のデータによれば最終回近くでのこの展開は、今まで人間を護ってきた主人公が人間の愚かさに絶望し全てを無にする、デビルマンパターンです。すぐにサタンの軍勢に備えて軍備を整えないと、天使の軍団もやってきますよ。このままじゃ救いのないエンディング迎える事になりますよ」
「
そう、そのメカメカしい奴とは、改造された山崎退であった。彼に声をかけられて冷たい返答をしたのは、羽織の水を絞る土方十四郎である。
「いい加減にしねェと、俺も部下の愚かさに絶望し給料無にするぞ」
「愚かな部下って、ここまであの人達を追ってこれたのは誰のおかげだと」
「ああ、飛行が可能だっていうからその背に乗って奴等の船を追おうとしたら、即ガス欠で海に沈んで、そっからは船にしがみついてただけ。5回程三途の川が見えたのはお前のおかげだ」
2年経っても土方の苦労人振りは変わらないらしい。
問題児2人とは今のところ接触していないのにこれでは、先が思いやられる。
「いやアレは、燃料補給ができなくて。海水であんパンがふやけちゃったんですよ」
「なんでロボコップの燃料があんパンだ!」
「しかもこしあんじゃなくてつぶあんで。アレじゃ力がでないよトニー」
「誰がトニーだ、おまえはメカのスペックと脳ミソのスペック合ってねェんだよ!」
土方は仕切り直す様に溜息をついた。水を絞り終わった羽織を、また羽織る。
「長旅でお疲れの所悪いが、奴等から目を離すな。泳がせて動向を探るぞ」
「え? ウカウカしてたらデーモン軍とサタン軍の間で……」
「ハルマゲドン起きねェから」
「じゃあ土方さんはAさんと旦那を信じると」
「そういう話じゃねェ、まず奴等の目的をしるのが先だろ」
「それで? もし2人がよからぬ事をしようとしていたら……」
山崎の問いに、土方が顔を俯かせた。その表情は暗い。
「……斬るよ。それが、アイツの仲間だった……アイツが救った、真選組の役目だろ」
浮かぶのは、10年間の思い出と2年前のあの事件の事だった。
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なのは(プロフ) - 更新しないですか?楽しみです!(>_<) (4月23日 0時) (レス) id: d007c1ae64 (このIDを非表示/違反報告)
いな - 面白かったです!最初から一気に読みました!これからの展開が楽しみです!! (2023年2月4日 10時) (レス) id: 200a1f85db (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 続きが気になって目が乾燥帯になってます、続きとかは、もう出ないんですか? (2022年8月9日 10時) (レス) id: c4efed8c6d (このIDを非表示/違反報告)
春 - 続きはもう出ないんですか?気になって夜しか寝れません (2022年8月8日 22時) (レス) id: 79fd85110e (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - わかさん» ありがとうございます、候補に加えさせていただきます (2021年8月31日 20時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2021年2月13日 0時