銀ノ魂篇/心臓 ページ12
ポカン、と呆然とする2人を気にせず銀時は続ける。
「偶然店が空いてて手に入ってな。いやぁ、お前らもそんなに食べたかっ」
我に返った晋助の蹴りで、あんころ餅は銀時の顔の上で潰れた。
「それじゃねェ」
「何してんだてめェェ!! ゆっくり食べようととっといた……あっ、目で食べてもうまっ!!」
「目で食べれるワケねェだろ!! てかマジの副産物じゃねェか、シリアストーンで言ってんな!!」
「てめェ何つーもん俺にスらしてんだ」
「え? お前らコレが食べたかったんじゃないの」
もしかしてこっちか、と銀時は懐に手を入れる。
「ああ、じゃあこの京都名ぶ」
「それじゃねェ」
聞かなくても違うと解る、と、晋助は銀時が取り出そうとした京都名物の甘味ごと彼の腹を蹴った。
「まだ見てもいねェのに何で解んだボケが!!」
「名物なんて誰でも手に入るもんの為にあんなに追手がかかるワケねェからだよ!!」
「言ったなA、じゃあ名物の後に『八ツ橋にくるまれた吉岡里帆』って続いたらどうするつもりだ。食べていいかな、八ツ橋ごと食べていいかな」
「それ
「腹下して死んでくれ」
銀時に言った後、晋助は仕切り直す様に息をついてから翡翠色で銀時を真っ直ぐ見た。
「……お前とっくに手に入れたんだろう。その……本当に探していたもの。必ずどこかにあると……必ず生きていると、確信していたもの」
銀時は袖から、それを取り出した。
呪符の様なもので覆われている、卵の様な形のそれ。卵と違うのは、硬さと、ドクンと脈打っている事。
「虚の、吉田松陽の心臓を……」
Aも予想はついていた。だが実際に目にすると、息を呑む。
しかし兄達は、表情を崩さなかった。
「無数の龍穴を渡り歩き2年。そうして見つけ出したのが、そいつってワケか」
「いつから確信してたの? 奴がまだ死んでないって」
「最初からさ。あの時虚は、自ら龍脈の渦に身を投げただろ」
Aは頷く。忘れたくても忘れられないだろう、あんな光景。
「その肉体はアルタナに飲み込まれ、消え失せたように見えた。だが奴は元々アルタナから生まれた存在。それは海から弾けた1滴の雫が、海に還ったようなもんだ。つまりまたその海の何処から、奴が生まれ出てきてもおかしくねェってこったろ」
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なのは(プロフ) - 更新しないですか?楽しみです!(>_<) (4月23日 0時) (レス) id: d007c1ae64 (このIDを非表示/違反報告)
いな - 面白かったです!最初から一気に読みました!これからの展開が楽しみです!! (2023年2月4日 10時) (レス) id: 200a1f85db (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 続きが気になって目が乾燥帯になってます、続きとかは、もう出ないんですか? (2022年8月9日 10時) (レス) id: c4efed8c6d (このIDを非表示/違反報告)
春 - 続きはもう出ないんですか?気になって夜しか寝れません (2022年8月8日 22時) (レス) id: 79fd85110e (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - わかさん» ありがとうございます、候補に加えさせていただきます (2021年8月31日 20時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2021年2月13日 0時