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銀ノ魂篇/龍穴に入らずんば師を得ず ページ13

「何より……あの時俺はきいた」


『人間達よ、これで終わりではない。あなた達は……あの男は、選んでしまった。終わる事なき戦を。苦しみと悲しみに彩られた生を。それを終わらせられる者は、もういない。あなた達を救える者は、もういない』

『君達の松陽()を救える者は、もういない』



そういえばそんな事を言っていたと、Aは思い出す。

今思えばそんな意味深な台詞を虚が負け惜しみで言う筈は無いが、あの時彼女はそんな言葉を気にしている余裕など無かったから。


「奴は自らを……世界を終わらせようとした。俺達はそれを止める事には成功したが、それは虚を……吉田松陽を……終わる事のない呪いの輪廻()に引き戻す事と同じだった」


『銀時。楽しみにしていますよ。いつか君が、私という化物を退治しにきてくれるのを』


松陽だって、自分が終わる事を望んでいた。
勿論あの時はハッキリとは言わなかったけれど、今思えばあの言葉はそういう意味だったんだろう。


「俺達ゃ世界を救う事はできたが、たった1人、師を救うことすらできなかったのさ」


だから銀時は、また1人になった。
鬼と呼ばれていたあの頃の様に、松陽と出会って得たもの達と別れたあの頃の様に、万事屋を始めて出会ったもの達と別れた。

それは、万事屋としてでも、世界を救う為でもない。
1人の弟子として……松下村塾の坂田銀時として、やらなくてはいけない事を見つけたから。


国中の龍穴をめぐって、銀時は遂に見つけた。
それは赤ん坊だったが、神主によればそれは、生物にすら見えない肉の塊が変化し成ったものだと。

銀時はそれを殺そうとした。でも……出来なかった。


「虚なのか、松陽なのか。まだ何者になるかも解らない赤子(ガキ)を、俺は終わらせられなかった。そんな俺の気持ちをしってかしらずか、それ(・・)は瞬く間に成長したが、口をきく事はおろか意志を示す事もない。ただ黙って俺についてきた。どこまでも」

銀ノ魂篇/松陽という名前→←銀ノ魂篇/心臓



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なのは(プロフ) - 更新しないですか?楽しみです!(>_<) (4月23日 0時) (レス) id: d007c1ae64 (このIDを非表示/違反報告)
いな - 面白かったです!最初から一気に読みました!これからの展開が楽しみです!! (2023年2月4日 10時) (レス) id: 200a1f85db (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 続きが気になって目が乾燥帯になってます、続きとかは、もう出ないんですか? (2022年8月9日 10時) (レス) id: c4efed8c6d (このIDを非表示/違反報告)
- 続きはもう出ないんですか?気になって夜しか寝れません (2022年8月8日 22時) (レス) id: 79fd85110e (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - わかさん» ありがとうございます、候補に加えさせていただきます (2021年8月31日 20時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2021年2月13日 0時

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