銀ノ魂篇/君のせいじゃない ページ10
神楽が取り出したのは、小さい球に入ったままの定春だった。まだ、眠り続けている。
「なのに、どんな顔をすればいいのか」
神流として姿を現した理由がそれだった。
新八に、銀時に、合わせる顔が無い。
「散々大きな口を叩いて地球を飛び出して、万事屋をバラバラにした私が、何もできないまま、ただ色んなものを壊すだけ壊したまま、一体どんな顔をして
神楽は顔を隠していた布団をバッと退ける。
「ねェ、教えてヨ!!」
「うん、少なくともその顔ではねェな!!」
右半分は神楽婆のままにも関わらず、左半分は元の神楽に戻っていた。ハーフアンドハーフになっていた。
「少し休んで大分元に戻ってきたアル」
「いや、あしゅら男爵みたいな顔になってるけど!」
「私も16歳、半分大人半分子供の妙齢だからな」
「そんな16歳いるか! どんな身体の構造してんの!?」
たった数分で常人の2年分のツッコミを回収した新八は、そっと息をつく。溜息みたいになったのは、まあ許してくれ。
「……ったく。話をきいても全然理解できなかったけど、君がなんでウソなんかついてたかはよぉく解ったよ。神楽ちゃん……君が気に病む必要なんてないよ。君が定春を助けに行かなきゃ、僕らが行ってたさ」
その優しい声に、神楽は上目遣いで新八を見上げる。
彼は神楽ではなく、復興した江戸の街を見ていた。
「君は僕らの思いを背負って定春を救いに行ってくれたんじゃないか。おかげで僕らは江戸に残り、その復興に力を尽くす事ができたんだ! 万事屋は君のせいで解散したワケじゃない」
口火を切ったのが神楽だったというだけだ。
彼女が言い出さなくたって、きっと……。
「多分そうじゃなくても、あの人は……」
「消えてたかい」
新たな声に、2人は目をやる。沖田が階段を上ってきていた。
「じゃあやっぱり旦那は、しってたのかもな。アイツがまだ生きてるって事を」
新八や神楽と違って、彼はこの2年で変わったように見える。いつも隣に居た彼女が居ないからだろうかと、そんな事を思った。
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なのは(プロフ) - 更新しないですか?楽しみです!(>_<) (4月23日 0時) (レス) id: d007c1ae64 (このIDを非表示/違反報告)
いな - 面白かったです!最初から一気に読みました!これからの展開が楽しみです!! (2023年2月4日 10時) (レス) id: 200a1f85db (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 続きが気になって目が乾燥帯になってます、続きとかは、もう出ないんですか? (2022年8月9日 10時) (レス) id: c4efed8c6d (このIDを非表示/違反報告)
春 - 続きはもう出ないんですか?気になって夜しか寝れません (2022年8月8日 22時) (レス) id: 79fd85110e (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - わかさん» ありがとうございます、候補に加えさせていただきます (2021年8月31日 20時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2021年2月13日 0時