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銀ノ魂篇/欠けた月に寄せたのは ページ36

土方は紫煙をゆっくり吐き出す。それで気持ちを切り替えたらしい。


「俺も今はこんな田舎に赴任しちゃいるが、これは決して左遷ではない。まぁお前がいなくなってから2年だ。江戸も色々変わったって事さ」


だが、と言う。銀時の顔に少し笑った。


「どうやらてめェは相変わらずみてェだな。万事屋も江戸も捨て2年も姿消して、一体どんなツラして生きてんのかと思えば」


アホらしい、と。
呆れている様にもほっとしている様にも、どちらにも見えた。

鼻をほじる銀時に、表情を戻す。


「だからこそききてェな。万事屋、お前なんで江戸を出た。2年間一体何をやってやがった。松下村塾(あのばしょ)にその何かがあるってのか」

「何もねェよ、もう」


もう無い。
昔なら、あったけれど。


「だがかつてあそこに何があったかは、あの高杉(ぼうれい)が現れるのをあそこで張ってたお前ならもう御存知だろうよ」

「……高杉(やつ)が先の戦いでいかなる働きをしたのかは承知だ。だがアレを捨て置くワケにはいかねェ」


土方は席を立つ。窓へと歩み寄り、銀時に背を向けたままで言う。


「2年前、戦が集結し瀕死の高杉が姿を消した日、天鳥船から消えたものがもう1つあったのをしってるか」


何も言わない銀時に、土方は答えを告げた。


「天導衆」


ピクリ、と銀時が反応したのを、彼を背にしている土方は知らない。


「解放軍は、宇宙を天導衆の支配から解放すると謳いながら、その実既に天導衆の身柄を抑え、その存在をひた隠しにしていた。それははた目にはただの肉塊にしか見えなかったが、確かに生きていたという。それは何故か、お前はしってるだろ」


虚を何度も相手にしたお前なら……と、気配が言っていた。

土方は応えを待たず、続きを口にする。


「天導衆の中には、不死身の血が、虚の血が残っていた。そしてそれが、高杉と共に消えたという事は……」


銀時の脳裏に浮かんだのは、切り傷が数瞬で綺麗に治った晋助だった。


「近頃宇宙では、天導衆の支配を離れアルタナを国有化した国々でテロが頻発してる。巷じゃ噂になってるよ。天導衆が蘇り、奪われたアルタナを取り返しにきたんだと」


土方の言わんとしている事が解った。それでも信じたくない自分が居る。
Aも協力している事になるからだと、自分に思い込ませた。


「真偽は解らん。だが、何かが動き始めてる。そして恐らくその渦の中心に、あの高杉(おとこ)はいる」

シリーズへのリンク→←銀ノ魂篇/左遷先での取調べ



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りら(プロフ) - わざわざお返事ありがとうございます!了解しました!楽しみに待ってます!!! (2021年2月13日 12時) (レス) id: da907c3bf1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - りらさん» すみません! 1話を書き次第こちらで公開させていただきます。 (2021年2月13日 12時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
りら(プロフ) - 初めまして!主さんの投稿楽しく読ませて頂いています。唐突で申し訳ないのですが、次作の「夏の夜は」のパスワードを教えて頂きたいのですが宜しいでしょうか…? (2021年2月13日 10時) (レス) id: da907c3bf1 (このIDを非表示/違反報告)
- ゆずさん» 失礼いたしました! (2021年2月2日 16時) (レス) id: 138fff996e (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 「月影」でも間違いではないと考え、そのままになっています。 (2021年2月1日 18時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2021年1月21日 18時

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