銀ノ魂篇/真選組の今 ページ29
ロリコン不法所持で逮捕されそうになった新八を救ったのは、新しく警察庁長官になっていた今井信女だった。
……いや、救ってはいないな。たま子と歩いているだけで捕まりそうになった新八の誤解を解いたのはたま子で、間違えた信女はお詫びとして新八に窓拭きを依頼しただけだ。天然サドのそよ姫も、女性を虐げるあらゆる権力や暴力を打ち払う為に頑張っているらしい。
つまり何が言いたいかと言うと、この国の男達に未来は無い。
新八はもう諦め、縄で吊るされながら窓拭きを開始する。窓越しに気になっていた事を訊いた。
「あのォ、真選組の方はどうなってるんでしょう。あれだけ活躍したのに、順当にいけば彼等が出世コースだったんじゃ。なのに近藤さんは何故かゴリラと結婚して辞職。他の皆は……一体」
「確かに」
そう新たな声。歩いて来ているのは、サングラスに咥えタバコの、ぱっと見ヤクザの男。
「奴等の剣は新たな時代を切り拓いた。だが斬れ過ぎる剣は、乱世にあっては力となっても、平安の世では嫌われちまうのが常よ」
「松平公!!」
「皮肉なもんだなァ、オイ。奴等は新時代の扉をおしひらきながら、その新時代に嫌われた。いや、新時代に選ばれた恐るべき男によって捨てられた」
松平片栗虎は、懐から出した紙を窓越しに新八に見せる。
「ここ一月で新政府から真選組に下された処分をまとめたもんだ。読んでみろ」
土方十四郎 左遷。
斎藤終 辞職。
沖田総悟 切腹。
「幹部連中は全員やられた。近藤のゴリラ婚は始まりに過ぎなかったんだ」
「全員……!? でも待ってください、Aさんは? あの人だって副長補佐だし、幹部ですよね」
「Aちゃんは自分から辞職したよ、2年前に。今はどこに居るのかねェ」
2年前。どこに居るのか解らない。
もしかしてあの人と居るのかもしれないと、そんな考えが浮かぶ。
「……総悟が随分落ち込んでたなァ」
独り言だろうか、憐れむ様な声音で松平は言った。
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りら(プロフ) - わざわざお返事ありがとうございます!了解しました!楽しみに待ってます!!! (2021年2月13日 12時) (レス) id: da907c3bf1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - りらさん» すみません! 1話を書き次第こちらで公開させていただきます。 (2021年2月13日 12時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
りら(プロフ) - 初めまして!主さんの投稿楽しく読ませて頂いています。唐突で申し訳ないのですが、次作の「夏の夜は」のパスワードを教えて頂きたいのですが宜しいでしょうか…? (2021年2月13日 10時) (レス) id: da907c3bf1 (このIDを非表示/違反報告)
都 - ゆずさん» 失礼いたしました! (2021年2月2日 16時) (レス) id: 138fff996e (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 「月影」でも間違いではないと考え、そのままになっています。 (2021年2月1日 18時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2021年1月21日 18時