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銀ノ魂篇/既視感 2 ページ26

「バカヤロー、だから違うって言ってんだろうが!」


誰かが殴られた様な音と共に怒鳴り声が響き、そのファミレスに居た客は皆レジの方に目を向けた。店長の男が、赤く腫れた頰を押さえるバイトであろう青年に怒っている。


「オメェ、今時レジ打ちなんてゴールデンレトリバーでもできるよ! オメェ人間じゃん、一月も務めてんじゃん、何でんな事もできねェんだよ!」


どこか既視感のあるシチュエーションと台詞である。そして店長もそれを覚えていたらしい。


「オメェみてェに使えねェ奴昔もいたなァ! とっくにどっかでのたれ死んでるだろーがよォ!」

「オイ店長、そのへんにしておけ」


やっぱり既視感。店長に声をかけたのは案の定、茶斗蘭星の大使である。どう見ても猫の天人。
偉そうな声で言う。


「小僧、レジはいいから牛乳を頼む」

「ちょっとちょっと旦那、甘やかしてもらっちゃ困りまさぁ」

「いやいや、最近の侍を見ると何やら哀れでなァ。全宇宙を敵に回したあの戦いから2年、辛くも滅びを免れ皮一枚で首をつないだまでは良かったが、戦で疲弊しきった国に残骸になった国土を建て直す力はなく、他国の協力無くしては民も食わせられぬ有様。生きさらばえるため周りに媚びへつらうその姿はまるで、生きる屍のようだ。そんな姿を見るとつい……」


そしてやっぱり、牛乳を運んできたバイトの青年に足を引っ掛けて転ばせた。


「手だけでなく足も出したくなる」


ガッハッハッハ、と笑う天人2匹。

___そんな彼等と背中合わせの席に座る雲柄の着流しの男が、2匹の顔を鷲掴みにした。


「あのォ、すみません」


言うと彼は、2匹の顔をテーブルに押し付け、その反動で自分はテーブルの上に立つ。怒り銃を向けてくる天人に、彼はイヤホンを外しながら言う。いつの日かの彼の様に。


「ギャーギャーギャーギャー、静かにしてくれません? 発 情期ですか」


志村新八だった。


「寺門通ベスト新八エディションに雑音が入ってくる。迷惑です、即刻店から出ていってください。さもなくば……。僕は彼のような少年を放っておくわけにはいかない。僕も、彼だったから」


そして木刀を抜き、


「だから、きっと君も……強くなれる!!」

「人の店で何暴れてんだクズどもがァァァ!!」


彼とは違って天人ごと店長の飛び蹴りにやられた。やっぱり新八は新八だった。

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りら(プロフ) - わざわざお返事ありがとうございます!了解しました!楽しみに待ってます!!! (2021年2月13日 12時) (レス) id: da907c3bf1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - りらさん» すみません! 1話を書き次第こちらで公開させていただきます。 (2021年2月13日 12時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
りら(プロフ) - 初めまして!主さんの投稿楽しく読ませて頂いています。唐突で申し訳ないのですが、次作の「夏の夜は」のパスワードを教えて頂きたいのですが宜しいでしょうか…? (2021年2月13日 10時) (レス) id: da907c3bf1 (このIDを非表示/違反報告)
- ゆずさん» 失礼いたしました! (2021年2月2日 16時) (レス) id: 138fff996e (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 「月影」でも間違いではないと考え、そのままになっています。 (2021年2月1日 18時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ゆず | 作成日時:2021年1月21日 18時

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