銀ノ魂篇/傷 ページ15
「終わるならお前1人で終わっていけェェ!!」
神楽に顎を蹴り上げられた虚は咄嗟に刀の鞘を掴み、それを神楽に振るう。彼女は思い切り殴られた事で後ろに飛ばされ倒れたが、虚はそれに構わず心臓を押さえていた。
血が噴き出る。立っているのも辛い。
刀を杖代わりにして歩く虚の再生は、出来損ないと同じ不完全な再生だった。
何故だろうかと思考を巡らせて、「毒蛇」という神楽の先程の言葉にピンと来る。
「……よォ。随分傷の治りが悪いみてェで何よりだ」
そんな彼に、低くよく通る声がかかった。
「しかとかみしめな。その傷は、お前が殺した奴が命がけで残してったもんだ。かすり傷1つ無駄にする事は許さねェ」
坂田銀時は木刀を握りしめて、怒りのこもった、でも静かな声で言う。
「……結晶石の破片。あの時砕けた結晶刀を私に投げつけたのは、私の視力を奪うためではない。その破片を、私の再生力を利用し体内に取り込ませるため。僅かな破片といえども結晶石、長時間体内にとどまればアルタナは侵され不死者の再生力も狂い始める。それも、龍脈を封じられた補給のきかない状況ともなれば……」
「……何だっていい。てめェのその身体に、アイツらの戦った
倒れ、もう2度と動く事も話す事も息をする事も出来ない彼等に目をやる。
一体何人が、コイツに殺されたんだろう。
銀時は沖田が彼女と一緒に倒れている方にはわざと目を向けず、また虚に目線を戻した。
「何一つ無駄にはしねェ。俺達の戦った意味を、思いを、無念を、希望を」
新八と神楽も立ち上がる。真っ直ぐな目で虚を見据えた。
「全てを、てめェの身体に刻んでやる」
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りら(プロフ) - わざわざお返事ありがとうございます!了解しました!楽しみに待ってます!!! (2021年2月13日 12時) (レス) id: da907c3bf1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - りらさん» すみません! 1話を書き次第こちらで公開させていただきます。 (2021年2月13日 12時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
りら(プロフ) - 初めまして!主さんの投稿楽しく読ませて頂いています。唐突で申し訳ないのですが、次作の「夏の夜は」のパスワードを教えて頂きたいのですが宜しいでしょうか…? (2021年2月13日 10時) (レス) id: da907c3bf1 (このIDを非表示/違反報告)
都 - ゆずさん» 失礼いたしました! (2021年2月2日 16時) (レス) id: 138fff996e (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 「月影」でも間違いではないと考え、そのままになっています。 (2021年2月1日 18時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2021年1月21日 18時