心にも (ページ30)

今日:5 hit、昨日:12 hit、合計:37,019 hit

銀ノ魂篇／おわりのあしおと２ページ30

「解放軍の皆さんも、そろそろ気づいている頃かもしれませんね。自分達の犯した過ちの大きさを。本当の敵は、誰であるのかも」

「てめェェ、一体何をしやがった！！」

銀ちゃんが怒鳴れば、虚は表情を崩さずに説明し出す。

「どうやら君達がバラまいた機械(からくり)を無力化するナノマシンウイルスも、ターミナルの地下深くにある『門』を破壊するまでにはいたらなかったようだ。ようやく手に入れた鍵が無駄にならなくてよかった。この様子では門は正常に開いたらしい」

地球の大地には、龍脈と呼ばれるアルタナの奔流が血管の様に張り巡らされている。

その源泉である『龍穴』を塞ぐ装置『門』を自在に出来れば、龍穴を暴走するさせ膨大なアルタナにより一国を滅ぼす事も、血管の各所を破り広範囲複数の暴走を起こし大軍を蹴散らす事も自在。

「私にはいつでもあなた達を終わらせる事ができた。あはた達はずっと、私の掌で踊っていたに過ぎないんですよ」

それでも……いくらアルタナの暴走によって破壊を繰り返しても、虚の肉体は破壊する事が出来ない。虚の肉体は地球のアルタナを食らって生きているから。

地球を終わらせない限り虚は終われない。
だから虚は、宇宙規模の戦争を引き起こし、地球に全宇宙の兵力を集めた。
地球を破壊できる力があれば、虚をも壊す事が出来る…………

「からではない。この期に及んでは、地球と全宇宙、手をとり合って、」

一際大きい揺れが地面から身体に伝わる。

ターミナルから、大きな光の柱がのぼった。

「一緒に仲良く死ぬためです」