心にも (ページ11)

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銀ノ魂篇／ヘヴァページ11

「機に乗るとは、河に流れる流木を掴むようなもの」

何となく風流な例えをしてきたのは、陰陽師の結野衆の当主である結野晴明さん。彼の隣に居るのは同じく陰陽師の尻野衆当主、尻野道満さんだ。

白い装束を着ているのが結野衆の方々、黒い装束を着ているのが尻野衆の方々である。

「容易には掴めぬし、逃せばまた木が流れてくるとは限らん。引くのは結構、だがこれが我等に訪れた最後の勝機やもしれんぞ」

「兄上様……では、戦うべきだと」

「いや、熟慮せねば今迄の犠牲も無駄になると申しておる。戦を止めるには戦を始める以上のリスクを負う覚悟が必要という事さ」

晴明さんが、妹で人気お天気アナのクリスタルさんに返したのを皮切りに、他の派閥の奴等もそれぞれの立場で騒ぎ始める。

私としてはどっちでも良いけどね。戦うにしたって引くにしたって、確実な勝機があるワケでも確実な地球滅亡が待つワケでもない。

「万事屋の皆さんは？この機に乗じ敵を攻めるか、それとも態勢を立て直すか、意見をおきかせください」

言ったのは、結野アナだかの式神だという外道丸。黒髪おかっぱの可愛い顔して、背中には普通に金棒背負っている。

神楽がむすっとした表情で口を開いた。

「私はカレーがいいアル」

「いや、誰も夕飯の話なんてしてないよ神楽ちゃん。……いや、あの……難しい事はよく解らないんですけど」

新八が頭に手をやりながら言う。

「正直みんながいるなら、どう転んでも何とかなるというか、何も恐くないというか。とにかくなんだか感激しちゃいました」

そして照れ臭そうな笑顔を浮かべた。

「こんなにたくさんの人が一緒に戦ってくれている事に、江戸に、地球に生まれてよかったって。すっ、すみません、そんな事きいてんじゃないですよね。ごっ、ごめんなさい」

「そんな事ねェさ」

突然の声に、皆がその方向を向く。

姿が見えなかったからどうしたのだろうと思っていたけれど、良かったちゃんと居た、……うん？

「つまりこれだけの人間が同じ目的のためにここに集った事に比べれば、やり方なんぞはどっちに転ぼうが瑣末な事。内輪モメしてる暇があんならジャンケンででも決めちまえってこったァ」

や、言ってる事は良いんだけどね？銀ちゃんそれ、

「てめーらの言い分はもっともだ。立て直しも必要、かといって敵も捨てておけねェ。ならいっそまん中をとって」

何操縦してんの？

「ヘヴァ出撃させてみるか」