銀ノ魂篇/兎は月夜に高く跳ぶ ページ18
「まっ先に走ってくからおかしいと思ってたんだよ」
「忘れろ!!」
「忘れてェのはこっちだよ。また気持ち悪くなってきちゃったぞ」
銀ちゃんに同意だ。忘れたくても忘れられないよ、あんな衝撃の光景。
いや、別に私は大丈夫だけどね? 野ゴリラがパンツ洗ってるのは衝撃だったけど、知り合いとかじゃ全然ないし全然忘れられるけど??
「でもどうしましょ、また手がかりなくなっちゃいましたよ」
「ちょっと待て」
トシが緊迫した声を上げた。
視線を追って地面へと目を向ければ、そこにあるのは真っ赤な痕。
「血痕!? まさか」
「源外が残した手がかりはこっちなのかもしれねェ」
総悟の説よりは余程ありそうだった。
「じゃあ今源外さんは!!」
「解らんが一刻を争う状況なのは間違いねェ!!」
点々と続く血痕を追って走り出す。
結構血ぃ出てますよこの感じ!!
「土方さんそれコブチャンの名にかけれんでしょうね」
「おまいう」
「なんで俺だけ
「見てください、血の量がだんだん……!!」
「マズイぞ急げ!!」
そうして発見した彼に、皆が言葉と足をピタリと止めた。そこに居たのは、右手を電柱に、左手を尻にやる、目が前髪で隠れている男だった。
「の……飲みすぎて
彼はボラギノールAを私達に差し出す。
「もう動けねェ、頼む」
……まあ、踵を返して走り去ったよね。
「……オイ」
「お前らの飲み会のせいでみんなズタボロだろーが!! 主に下半身が!!」
「ごまかすな、推理はずしたんだから早く
「じゃあ
「すいやせん、俺のじっちゃん大分前に死んでるんで早く土方さんも死んでください」
「どんなロジックだバカ」
「ちょっとんな事言ってる場合ですか!!」
新八の言葉に足を止める。
そうだ、バカの所為で忘れてたけどヤバい状況なんだ。
「もう通信を利用してみんなでしらみ潰しで当たるしか……」
「こっちアル」
突然の可愛い声。いつの間にか起きていた神楽だ。
「心当たりでもあるってのか」
「どうせ勘なら、私の勘に任せてみてもいいネ」
彼女は空を見上げて、青い瞳に満月を映した。
「こんな夜こそ、夜の兎は狩人になるアル」
銀ノ魂篇/彼が決めたそこが終点→←銀ノ魂篇/ヘンゼルとグレーテル
101人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆず | 作成日時:2020年10月19日 19時