銀ノ魂篇/隣ではないどこかできっと誓いを果たす ページ22
「___標的、一斉掃射により沈黙。残存する敵影は見当たりません」
『何を言っておる』
ありのままを報告すれば、通信で圓翔にそう返される。
『敵なら、まだ残っているではないか』
その言葉の意図を汲み取った解放軍達の船は、江戸の街の空を覆い尽くさんばかりに進む。
『全て焼き払え』
建物も、人も、何もかも。
☆☆☆☆☆
「もう終わりだ!!」
そんな悲痛な声を上げた男が居るのは、江戸城の一室だった。
「解放軍が江戸の空を覆っているぞ!! 江戸は、この国は、もうおしまいだ!!」
「だから言ったのだ、早急に降伏する旨を伝えよと」
「そんな事で奴等が引き下がるとでも思っているのか!」
「そもそも喜々様が直接交渉に当たっておいでの時に降伏など」
「そなたはまだあの裸の将軍を信じておるのか! こんな国とうの昔に捨て、1人逃げおおせているに決まっておろう!!」
「我等もこんな所でモタモタしていたら国と心中する事になるぞ!!」
「どうぞ早くお逃げになってください」
可愛らしい少女の声に、ピタと男達の声が止まった。
彼等が振り向けば、部屋の入り口に立っているのは15歳くらいであろう姫カットの少女である。
「この国の事なら心配いりません。お城の留守は私が預かりますので」
「そ、そよ姫!!」
☆☆☆☆☆
「なんだと、そよ姫が!」
部下からの報告を聞いた百地は、そう声を荒げた。
「何故見張りを怠った!! あれほど注意せよと申したはずぞよ」
「申し訳ありません。何分厠の中までは付いていけず、そのスキを……」
「一刻も早く捜し出せ!」
百地の掛け声で、集まっていた黒装束の忍達は一斉に姿を消した。
それから1人になった彼女は、彼の言葉を思い出す。
「そうか。じゃあどうあっても江戸に残るってんだな」
そよの決意の篭った言葉を聞いて、全蔵はそう言う。
「解ったよ」
それから、踵を返しどこかへ行こうとした。咄嗟に百地は、「どこにいく」と声をかける。
「俺は姫を護ると誓ったが、ここに残るなら俺は姫を護りきれねェ。姫の隣にいても役には立たねェ」
全蔵は足を止めて、そう百地へ返したのだ。
そよの選択を怒りもせず、自分のこれからへの迷いも見せず、それが当然であるかのように。
「
95人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆい(プロフ) - ありがとうございます! (2020年10月19日 20時) (レス) id: a2d1753a5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - ゆいさん» すみません、実は続編は、まだ1話も書いていないんです。書き次第公開しますので、それをお待ち下さい。 (2020年10月19日 20時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい(プロフ) - すいません!心にもがパスワードがかかっているのですが教えていただけないでしょうか? (2020年10月19日 19時) (レス) id: a2d1753a5f (このIDを非表示/違反報告)
菜々子(プロフ) - ゆずさん» 楽しみにしてます!!!無理はなさらないでください(TT) (2020年10月18日 22時) (レス) id: 53a94e4f14 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - 菜々子さん» ストレートなご感想ありがとうございます! いつ完結になるかまだ読めませんが、最後まで頑張ります!! (2020年10月18日 20時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆず | 作成日時:2020年8月25日 15時