さらば真選組篇/本物の侍 ページ39
「つまり定々公の政敵をつみとるため、野良犬どもを使い共に闇に葬れと」
「徳川御三家の一角を崩すとなれば、それなりの形式が必要という事でしょう」
窓際に立ち紫煙を立ち昇らせる松平に佐々木は淡々と続ける。それでも、今より遥かに声には人間味があった。
「元々彼等は攘夷志士と食い合いをさせるために生まれました。上の認識は捨て駒以外の何者でもなかったようですし」
「お前さんはどうなんだ、佐々木」
突然問われて、佐々木は松平に目だけを向ける。松平は彼を振り返らない。
「捨て駒として集めた奴等、今でもその価値しかねェと」
皮肉なもんだ、と下を見下ろしながら松平は溜息をついた。
お家だ役職だ、彼等よりもよっぽど侍らしい肩書を持っている自分達がそれにがんじ絡めで侍らしい事を何1つ出来ないとは。
「何も持たぬがゆえ侍より侍らしくあろうとする野良犬達、侍であるがゆえ何もできねェ
松平の見下ろす先、そこには浪士組の彼等が居た。
「……佐々木。ガキはいつ生まれるんだ」
「一月後です」
「そうか……こんな時代じゃ侍らしい事も父親らしい事もできねェかもしれねェが、せめて」
『メール位は返してやれ』
パン!! と佐々木が放った銃弾は、逃げる近藤の足に当たった。それにより2人は倒れ、すかさず見廻組の隊士達が襲いかかる。近藤は自分に向かってくる1人の首を掴み、動けない小太郎に襲いかかろうとした奴に向け思い切り投げた。
だが、まだまだ見廻組の隊士達は襲ってくる。
名前を何にするのかという会話をしながら土手を歩いていた彼等に声をかけたのは、ほんの気まぐれだった。
その時丁度自分も子供の名前に悩んでいたから、「奇遇ですね」と声をかけ、「アナタ達は一体どんな侍になりたいですか」と訊いた。
______近藤は言った。「解らんよ」と。
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しらぬい - そうなんですね!急かしてしまう形になってすみません…!楽しみにしています〜! (2020年6月17日 19時) (レス) id: 411c9be34b (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - しらぬいさん» ありがとうございます。見廻組の2人良いですよねホント……。「たち別れ」はですね、まだ1話も書いていないんです。夜には公開できると思います。 (2020年6月17日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
しらぬい - さらば真選組篇 前半お疲れ様でした!異三郎と信女の過去はやっぱり泣けます……。 ところで質問なのですが、パスワードが分からず「立ち別れ」に入れませんでした……パスワードを教えて頂く事は可能ですか? (2020年6月17日 19時) (レス) id: 411c9be34b (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - まめさん» 分かります、原作読んでる時まさかの事実に泣いてました。髪飾りはですね、今後の展開(多分後半の方)を楽しみにお待ちいただければと思います。 (2020年6月17日 8時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - さらば真選組篇前半完結おめでとうございます! もうこの時点で泣けますね...これから壊れた髪飾りもどうなるか気になります..! 完結まで駆け抜けて下さい!ついていきます!! 体に気をつけて更新頑張って下さい! (2020年6月17日 0時) (レス) id: 7bb68938d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年6月3日 8時