さらば真選組篇/近藤勲 ページ37
「えー、やだよ」とAは笑いながら土方の腕に抱きつく。怒られたもう1人の山崎は、顔を青くしながら「ただ今戻ります!!」と素振りをする仲間の元へ戻っていった。
Aを帰す事は諦めたらしい土方が、山崎に凄まれていた男に少しだけ頭を下げる。
「すまねェ、ウチの者が無礼を……?」
男、佐々木異三郎に目を向けた土方は少しだけ驚いたような表情になった。名前は知らずとも、間延びした顔に見覚えがあったらしい。
Aも「あっ」という顔になった。
「松平のとっつぁんの側近の人だ!」
「何だその呼び方。松平公だろ、松平公」
「良いじゃん。なんならお父さんって呼ばされそうになったよ」
「…………」
思わず沈黙した土方に、佐々木は「変わりましたね」と言った。
つい最近まで、誰が頭をやるかで揉めていたというのに。
「バラバラの方角に吠え散らしていた野良犬達が、ほんの数日で天に吠え猛る群れになった。野良犬に混じる、1匹の狼によって」
その目が真っ直ぐに見ているのは、男達の前に立ち素振りをする、後の真選組局長。
「刃をも弾く鋼のような意志、何者の形にも変化し包み込む水のような心を持っている。不思議な
『彼の名は?』
『近藤勲。俺達の大将だ』
佐々木はまた、逃げる2人に銃の照準を合わせた。
『近藤勲。優しさも厳しさももった、不思議な人ですね』
私達の子供も
あなたみたいな
堅物じゃなく
そんな子に生まれて
くれるといいですね
「ほう、お前さんにしちゃあずい分ハイカラなもん持ってんじゃねェか」
窓辺で送られてきたメールを見ていた佐々木は、突然背後からかけられた声に飛び上がった。バッと身体ごと振り返る。
「まっまっまっ松平公ォォォォ!!」
「そうかそうか、そういやオメーさん新婚だったな。相手は名門結城家の御息女だったか。エライ別嬪だって噂になってたもんな」
松平はにやけながら言い募る。
「いやしかし、エリート佐々木殿に新妻とイチャつく人間味が残っていたとはね」
「ちっ違います、これはその……!! 出産で里帰りしているゆえ連絡がつきやすいよう無理矢理もたせられて」
「成程、メールでイチャつきはしねェが別の所でしっかりイチャついた後だと」
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しらぬい - そうなんですね!急かしてしまう形になってすみません…!楽しみにしています〜! (2020年6月17日 19時) (レス) id: 411c9be34b (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - しらぬいさん» ありがとうございます。見廻組の2人良いですよねホント……。「たち別れ」はですね、まだ1話も書いていないんです。夜には公開できると思います。 (2020年6月17日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
しらぬい - さらば真選組篇 前半お疲れ様でした!異三郎と信女の過去はやっぱり泣けます……。 ところで質問なのですが、パスワードが分からず「立ち別れ」に入れませんでした……パスワードを教えて頂く事は可能ですか? (2020年6月17日 19時) (レス) id: 411c9be34b (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - まめさん» 分かります、原作読んでる時まさかの事実に泣いてました。髪飾りはですね、今後の展開(多分後半の方)を楽しみにお待ちいただければと思います。 (2020年6月17日 8時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - さらば真選組篇前半完結おめでとうございます! もうこの時点で泣けますね...これから壊れた髪飾りもどうなるか気になります..! 完結まで駆け抜けて下さい!ついていきます!! 体に気をつけて更新頑張って下さい! (2020年6月17日 0時) (レス) id: 7bb68938d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年6月3日 8時