さらば真選組篇/真選組局中法度第47条 ページ34
「やれやれ……ひでェ景色だ」
銀時が呟く。その嘆く様な声音に、絶望の色は全く見当たらない。
「ようやく山頂まで登ったってのに、ここも烏のフンまみれとはね」
それから土方にチラッと目をやった。
「先いけ」
「……え?」
心配そうに、不思議そうに自分を見上げてくる妹に、少し笑って頭にポンと手を置いた。クシャクシャッと撫でながら言葉を続ける。
「烏のフン掃除なんざ警察のお役目じゃねェだろ。さっさとゴリラのフンでも片づけてこい」
それから、忍の里での相弟子の言葉を思い出した。朧の左目を刀で突いた後に言っていた言葉。
「それに、奴ぁ」
『てめェもしかと灼きつけておきな。その目に最後に映したツラを』
『俺か、それともコイツか。どちらがここでくたばろうが、どちらかが必ずてめェらを地獄に送る』
「
朧を見据えて言った銀時に、「それじゃあ」と返したのは沖田だった。
「旦那はそっち。俺ァ、あっちですね」
そうして、信女を真っ直ぐ見据えてニヤリと笑った。
そんな彼に目を瞬くのはA。土方も目を見開いた。
だって沖田は、誰よりも近藤を慕っていた筈なのだ。
「本当は俺もいきてェ所だが、残念ながら俺にゃ近藤さんに与えられた役目がある」
それでAは分かったようだった。納得したように、少し笑う。
「俺は真選組一番隊隊長、沖田総悟。先陣きって真選組の道を斬りひらくのが役目だ」
そして、と土方に言う。
「アンタは真選組鬼の副長、土方十四郎」
ザ、と土方を囲うように真選組隊士も攘夷志士も彼に背を向けて並ぶ。
「その道を、振り返らずゆくのが役目でさァ」
「……じゃあ、
穏やかな声で言う幼馴染に目つきを優しくしてから、「土方さん」と声を上げた。
「いや……副長、局長を頼みます」
Aが土方の肩にポンと手を置く。彼は覚悟を決めたように唇をひき結んだ。
「よくきけ」
奈落が、見廻組が崖を降りてくる中、土方は言う。
「真選組局中法度に最後の一条を加える。今迄命を懸け守り続けてきた、46条の法度。たとえそれら全ての禁を犯す事になろうとも、」
刀を握って、一斉に駆け出して行く。
「生きろ」
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しらぬい - そうなんですね!急かしてしまう形になってすみません…!楽しみにしています〜! (2020年6月17日 19時) (レス) id: 411c9be34b (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - しらぬいさん» ありがとうございます。見廻組の2人良いですよねホント……。「たち別れ」はですね、まだ1話も書いていないんです。夜には公開できると思います。 (2020年6月17日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
しらぬい - さらば真選組篇 前半お疲れ様でした!異三郎と信女の過去はやっぱり泣けます……。 ところで質問なのですが、パスワードが分からず「立ち別れ」に入れませんでした……パスワードを教えて頂く事は可能ですか? (2020年6月17日 19時) (レス) id: 411c9be34b (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - まめさん» 分かります、原作読んでる時まさかの事実に泣いてました。髪飾りはですね、今後の展開(多分後半の方)を楽しみにお待ちいただければと思います。 (2020年6月17日 8時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - さらば真選組篇前半完結おめでとうございます! もうこの時点で泣けますね...これから壊れた髪飾りもどうなるか気になります..! 完結まで駆け抜けて下さい!ついていきます!! 体に気をつけて更新頑張って下さい! (2020年6月17日 0時) (レス) id: 7bb68938d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年6月3日 8時