さらば真選組篇/縄→階段 ページ29
「血がポタポタ垂れてる……」とAが顔を引きつらせる中、土方が更にツッコむ。
「あんな血濡れた縄使えるかァァ!! しかも長さ全然足りねェじゃねェか!!」
「仕方ないアル、もう少し縄をたそう!!」
「人間はたさなくていいィィィ!!」
そうして神楽によってまた犠牲者が出た。今度は土方だ。
ゴォガ、と沖田からは少し離れた所に激突する。
「あ、ズレたアル。あれじゃ意味ないネ」
「副長ォォォォ!! お前わざとだろ、絶対わざとだろ」
飄々と言う神楽に抗議する隊士達だが、
「この際だ、こうして階段として使った方がいいな」
ガン、ガン、ガン、と銀時によって木刀で崖に打ち込まれていく。攘夷志士よりも真選組の被害が大きいのは決して気の所為でないだろう。
1番下、階段が無くとも行ける位置に打ち込まれた山崎がズボッと血塗れの顔を崖から外した。
「すんません、コレ1段目に意味あるんですか。俺の命はただの踏み台ですか」
割と切実な言葉に、無事だったAが更に顔を引きつらせる。それから憐れむような瞳を彼に向けた。
銀時と神楽の頭の上に、自力で脱出したらしい土方と沖田が上から降ってきて蹴りを入れる。
「ふざけんなカスども!! 上につくまでに誰もいなくなるわ!!」
真っ当な抗議である。Aが土方の肩に「まあまあ落ち着いて」と手を置くがそれで怒りが収まるワケもない。
「何言ってんだてめェ、1人だけ血の付いてねェ綺麗な顔しやがって!!」
「おいてめェ何Aに八つ当たりしてんだ!!」
「そもそもの元凶はお前らだろーが!! てめェの身体バラバラにして足場にしてやるよ」
「ふざけんな、俺の○○○○を踏んづけていいのは結野アナだけだ」
「銀ちゃん下品!!」
また始まる、いつもの様な馬鹿騒ぎ。それを少し離れた所で新八が呆れながら眺めていると、クスクスという笑い声が耳に届いてきた。久し振りに聞いた笑い声。
「姉上……」
ボートに座るお妙は、かぶっていた頭巾をシュルッと外しながら言う。
「新ちゃん。私、もう帰れないと思ってた。あの頃みたいな日々はもう帰ってこないんだって、そう思ってた」
でも。
「私、まだ笑えるみたい」
あの人が江戸から居なくなってから、笑えなくなったと思っていた。
全てが変わってしまってから、笑っていなかった。
でも、また笑う事が出来た。
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しらぬい - そうなんですね!急かしてしまう形になってすみません…!楽しみにしています〜! (2020年6月17日 19時) (レス) id: 411c9be34b (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - しらぬいさん» ありがとうございます。見廻組の2人良いですよねホント……。「たち別れ」はですね、まだ1話も書いていないんです。夜には公開できると思います。 (2020年6月17日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
しらぬい - さらば真選組篇 前半お疲れ様でした!異三郎と信女の過去はやっぱり泣けます……。 ところで質問なのですが、パスワードが分からず「立ち別れ」に入れませんでした……パスワードを教えて頂く事は可能ですか? (2020年6月17日 19時) (レス) id: 411c9be34b (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - まめさん» 分かります、原作読んでる時まさかの事実に泣いてました。髪飾りはですね、今後の展開(多分後半の方)を楽しみにお待ちいただければと思います。 (2020年6月17日 8時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - さらば真選組篇前半完結おめでとうございます! もうこの時点で泣けますね...これから壊れた髪飾りもどうなるか気になります..! 完結まで駆け抜けて下さい!ついていきます!! 体に気をつけて更新頑張って下さい! (2020年6月17日 0時) (レス) id: 7bb68938d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年6月3日 8時