さらば真選組篇/烏の襲撃 ページ23
トシは静かな声で、「それに」と続けた。
「あんな連中でも、いなくなったら……近藤さんが悲しむからな」
「副長……」
その時、トシの前にライターがスッと差し出された。
「
小銭形さんはそう言うと、新しい葉巻を口に咥える。
「ハードボイルドに決めてきな。暴れ過ぎてゆくあてがなくなっても、」
同じライターから、煙草に、葉巻に、火を付ける。
「お前にはここに、もう1人上司がいる」
私は少し笑った。トシはつくづく上司に恵まれてるな、と思って。その分苦労人なのかな、とも思ったけど。
2人分の紫煙が辺りに漂う。
「目明かしは昔性悪だった奴程使えるんだ。なっ、ハジ」
「ひでーなアニキ。そんな言い方ないでしょ」
ハジの頭に手を置きながら言った小銭形さんにハジが抗議して、笑いが起こる。
そんな中、1人の隊士が「副長、Aさん」と呼んできた。
「向こうの船の様子が」
トシと顔を見合わせてから、船のへりへと歩く。黒縄島からの移送船が近付いてきているのが見えた。
違和感に眉根を寄せる。
「こちらに近づいてくるんですが、人の気配が……」
その船が完全に真横に来た時、見えたのは役人達が血を流しながら倒れている光景だった。
スッと顔が強張る。
「舵を切れェェェェェ!! あの船から離れ、」
ドォォォン!!
向こうの船から爆撃を受ける。そして辺りに漂う黒煙に紛れ、笠を被り錫杖を手に持った男達が乗り移ってきた。
奈落が振り下ろしてくる錫杖を咄嗟に刀で受け止める。
別働隊も奈落の襲撃に遭っているらしく、助けは望めない。それぞれの船に乗っている者達で、それぞれの船に襲撃してきた奈落を倒すしかないのだ。
攻撃を避けながら、相手の首を斬りながら、考える。何故奈落がここに居るのか。
まさか私達の計画が読まれていたのだろうか。
ふと目線を移すと、トシを庇った小銭形さんが刃を受けて倒れるのが見えた。トシが小銭形さんに声をかけているのを見て、私は暫く2人に近付く連中を斬っていく事にする。
「このままじゃこの船は沈む。ここは俺達に任せて、お前さんはあの船黙らせてきな」
「……分かった。オイA、コイツを……」
「何言ってんだ、お嬢さんと一緒にだよ」
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しらぬい - そうなんですね!急かしてしまう形になってすみません…!楽しみにしています〜! (2020年6月17日 19時) (レス) id: 411c9be34b (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - しらぬいさん» ありがとうございます。見廻組の2人良いですよねホント……。「たち別れ」はですね、まだ1話も書いていないんです。夜には公開できると思います。 (2020年6月17日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
しらぬい - さらば真選組篇 前半お疲れ様でした!異三郎と信女の過去はやっぱり泣けます……。 ところで質問なのですが、パスワードが分からず「立ち別れ」に入れませんでした……パスワードを教えて頂く事は可能ですか? (2020年6月17日 19時) (レス) id: 411c9be34b (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - まめさん» 分かります、原作読んでる時まさかの事実に泣いてました。髪飾りはですね、今後の展開(多分後半の方)を楽しみにお待ちいただければと思います。 (2020年6月17日 8時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - さらば真選組篇前半完結おめでとうございます! もうこの時点で泣けますね...これから壊れた髪飾りもどうなるか気になります..! 完結まで駆け抜けて下さい!ついていきます!! 体に気をつけて更新頑張って下さい! (2020年6月17日 0時) (レス) id: 7bb68938d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年6月3日 8時