さらば真選組篇/動くか死ぬか ページ14
小太郎は何か小さく丸い物を近藤の檻へと投げ入れる。
「その丸薬を俺が合図したら飲め。3日後の処刑を待たずしてお前は死ねる。といっても、一種の仮死状態だが」
うまく番兵を騙せれば牢獄の門くらいは開けられる筈だと言う小太郎に、近藤が「待て」と叫びながら鉄格子へ飛びついた。
「お前は一体どういうつもりだ!! 攘夷志士のお前が、仇敵である真選組局長を脱獄させるためわざわざ捕まったってのか」
混乱する近藤を安心させるように、小太郎は腕を組んで微笑む。
「案ずるな、俺にとって牢獄は近所の定食屋と変わらん。タダ飯を食える場所に過ぎん」
「いや定食屋タダじゃねェよ!! 食い逃げしてた!?」
「くわえて
「最終的にゴリラ檻にカムバックしてるけど!!」
一頻りツッコんだ後、近藤はまた言葉を重ねる。
「どういうつもりかしらんがこれ以上騒ぎを引き起こせるか!! シャバにいるトシ達に迷惑がかかる!! Aにだってだぞ!!」
「それについても心配ない。Aの許可を取った上でこの作戦に踏み切ったからな。今頃Aの優秀な働きによりお前の仲間達もエリザベスと合流して我等を救出する算段を整えているはず」
「人の話きいてた!?」
「つーかやっぱお前もシスコンなのな!!」とAに接する時の銀時を思い浮かべながらまた近藤はツッコむ。
「合流って何だ!? お前まさか奴等まで……そんなマネすりゃ全員まとめて打ち首だ!! 成功したとしてもこの先誰が江戸を護る!?」
「このままでも何も護れはせんさ。惚れた女1人でさえもな」
「お妙さんに何かあったのか!?」
小太郎は捕まるその直前の事を思い返していた。キャバクラを訪れた喜々と見廻組による横暴な行い、危うく斬られるところだったお妙、そして土方の代わりに喜々を殴った銀時。
Aは彼等をきちんと安全な場所に連れ出せただろうか、と思ったが、まあ大丈夫だろうとも思った。
「動けばもう戻れん。だがこのまま国に飼われていては、この国から何者も護る事はできん」
小太郎はボケモードを切り替え、真っ直ぐな声音で近藤へと言う。
「腐ったこの国の法に従い死んでゆくお前達には、仲間も、愛する者も、そしてこの国も救えはしない」
97人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しらぬい - そうなんですね!急かしてしまう形になってすみません…!楽しみにしています〜! (2020年6月17日 19時) (レス) id: 411c9be34b (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - しらぬいさん» ありがとうございます。見廻組の2人良いですよねホント……。「たち別れ」はですね、まだ1話も書いていないんです。夜には公開できると思います。 (2020年6月17日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
しらぬい - さらば真選組篇 前半お疲れ様でした!異三郎と信女の過去はやっぱり泣けます……。 ところで質問なのですが、パスワードが分からず「立ち別れ」に入れませんでした……パスワードを教えて頂く事は可能ですか? (2020年6月17日 19時) (レス) id: 411c9be34b (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - まめさん» 分かります、原作読んでる時まさかの事実に泣いてました。髪飾りはですね、今後の展開(多分後半の方)を楽しみにお待ちいただければと思います。 (2020年6月17日 8時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - さらば真選組篇前半完結おめでとうございます! もうこの時点で泣けますね...これから壊れた髪飾りもどうなるか気になります..! 完結まで駆け抜けて下さい!ついていきます!! 体に気をつけて更新頑張って下さい! (2020年6月17日 0時) (レス) id: 7bb68938d5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆず | 作成日時:2020年6月3日 8時