将軍暗殺篇/夜明け前 ページ37
茂茂様が京へ発ってから数日間、私や総悟、トシ、近藤さんは仕事をせずに休んでいた。勿論、あの極秘任務でメチャクチャ働いたからである。
総悟の所には神威率いる夜兎集団が襲ってきていたらしい。総悟が居なければ恐らく姫様は死んでいた。
非番だからと言っても、私達は外へ出ずにいた。理由は喜々が演説を町のモニターで流しているからである。あんな野郎の言葉聞きたくない。
そういうワケで、屯所で暇を持て余していた。
「姫様からの手紙です!!」
だからそんな隊士の声が聞こえた時は、思わず目を輝かせてしまった。
隊士が近藤さんへと渡した手紙を、私と総悟が後ろから覗き込む。
「トシはいいのー?」
「俺も覗き込めってか?」
「来んなよ土方」
「総悟煽るな。じゃあ俺が読み上げよう」
「やめて下せェ、『私』とか書いてあるんですよコレ。近藤さんが読み上げるとちょっと……」
「つくづく酷いなお前は」
「じゃあ私が読む!」
皆さん、元気にしていますか。
私と兄上様は江戸にいた頃よりよっぽど元気です。
私達がいるのは、この国で1番安全な所。天子様の庇護下にある御所。
ここなら兄上様の命を狙われるどころか、争い事が起こる心配もありません。
問題といえば、警備が厳重すぎて窮屈な事位です。
「片栗虎、護衛はいらぬ。ここは御所内。不敬であるぞ」
茂茂は、後ろからゾロゾロと付いてくる松平達をそう諫めた。
「それにこれから私が会うのはかつての忠臣達。私に忠を尽くしたがゆえ幕府を追われた友人達だ。彼等を疑うようなマネはできん」
「でも、将ちゃん……」
「将軍を排した世を作ろうとする私が将軍のままでいては誰もついてこない。裸でいく。ただの友人としてな」
心配していた兄上様のかつての忠臣達も兄上様の危機と知るや続々と集まり、連日門を叩く音がやみません。
「顔をあげてくれ」
茂茂は、自分に向け頭を下げるかつての忠臣達にそう声をかけた。
「私ももうただの人間、徳川茂茂だ。友として力を貸してくれぬか」
暖かい言葉に、次々と感動の声が上がる。
そんな中1人だけ、冷たい目をした男が居た。
皆さんといい彼等といい、兄は本当にいい友達に恵まれたものです。
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ゆず(プロフ) - 恋成さん» 3日でって凄いですね! ありがとうございます、本当に嬉しいです。長文むしろありがたいです、これからも頑張ります! (2020年6月2日 21時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - まめさん» ありがとうございます! 分かります、最後泣きますよね。そよちゃんが何も知らないのが、もう……。空知先生半端ない。体調に気をつけて頑張ります! (2020年6月2日 21時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
恋成 - 将軍暗殺篇完結、お疲れ様でした。今更ながら銀魂にハマった私、学校が始まったにも関わらず、3日でシリーズ全てを読み切りました。とても面白く、のめり込んでいきました。これからも楽しみにしています。長文失礼しました。 (2020年6月2日 21時) (レス) id: 6d3a560269 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - 将軍暗殺篇完結お疲れ様でした! これ最後のそよちゃんと将軍様のやり取りで泣きました。。タイトル回収するとは思わなかったですねこれ、、 今回も楽しく読ませていただきました!次も楽しみにしてます! 体調にお気をつけてくださいね! (2020年6月2日 19時) (レス) id: 7bb68938d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - しらぬいさん» 分かります、烙陽決戦篇も良いですよね! ちゃんとお兄ちゃんしてる神威と攘夷四天王の共闘が最高です。百人一首は毎回頑張って選んでいるので、そう言っていただけて本当に嬉しいです! (2020年6月2日 16時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年5月26日 23時