将軍暗殺篇/再び逢う ページ28
銀時が高杉に向け木刀を、神楽が神威に向け番傘を振り下ろす。その衝撃で土煙が辺りに舞った。
「白夜叉だ!! 射ちとれェ!!」
クナイが刺さっていた右腕を押さえながら武市が叫ぶ。だが彼の両脇では、首を落とされた鬼兵隊の男達が揃ってゆらりと倒れた。
それに驚き振り向こうとするが、その頭に走った衝撃で武市も倒れる。新八が木刀で殴ったのだ。彼の隣では鬼兵隊の男達を派手な方法で殺ったAがそっと息をついていた。
その様子を抜け道の途中で見ていた夜兎達は、急いで向かおうと走る。だが出口を通り抜けようとした途端、先頭の者の頭が落ちた。
「動くな」
抜け道の出口には鋭い糸が張られていた。
「真打のご登場だ。てめーらはおとなしくそこで護りでもかためてな」
服部全蔵はそう言うと、震える手でクナイを投げようとする。その手首を掴む者が居た。
「違う」
その声に振り返る。
「クナイの投げ方は、そうじゃない」
まるで、昔自分が彼に教えていた時と逆転したかの様だと思った。
「しっかり握れ、全蔵」
さっちゃんを支えながら茂茂は全蔵にそう言った。
「忘れてはおらぬぞ」
『いつかそち達が御庭番になる時がきたら。いつか余が将軍になる時がきたら。共に戦えるといいな、この国がために』
「ようやく会えたな」
全蔵は少し笑った。さっちゃんは一粒涙を零した。
「私の御庭番衆」
茂茂の瞳も少し潤んでいた。
土煙が晴れていく。高杉は刀を構えながら、目の前の男に言う。
「遅かったな。待ちくたびれたぜ」
銀時はついていた膝を地面から離すと真っ直ぐに立った。
「銀時」
頭から血が流れているのに、その瞳は鋭い光を帯びていた。
「この国を壊すのも護るのも、俺達しかいねェだろ」
神威は彼女からの攻撃を受け止めた体勢のまま、目の前の彼女に言う。
「やれやれ。国を護る最後の切り札にしちゃ、ずい分粗末なのが出てきたもんだ」
神楽は腰を落として番傘の銃口を兄へと向けた。
「俺Aに返事聞きたいんだけどな」
Aという言葉に、高杉が彼女を少し見る。その満月色の瞳は、どこか迷い子の様に揺れていた。
「A」
妹から視線を逸らすと、また銀時を見据えながら彼女に向け口を開く。
「ごめんな」
Aは左目を見開くと唇を噛んで拳をキツく握った。
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ゆず(プロフ) - 恋成さん» 3日でって凄いですね! ありがとうございます、本当に嬉しいです。長文むしろありがたいです、これからも頑張ります! (2020年6月2日 21時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - まめさん» ありがとうございます! 分かります、最後泣きますよね。そよちゃんが何も知らないのが、もう……。空知先生半端ない。体調に気をつけて頑張ります! (2020年6月2日 21時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
恋成 - 将軍暗殺篇完結、お疲れ様でした。今更ながら銀魂にハマった私、学校が始まったにも関わらず、3日でシリーズ全てを読み切りました。とても面白く、のめり込んでいきました。これからも楽しみにしています。長文失礼しました。 (2020年6月2日 21時) (レス) id: 6d3a560269 (このIDを非表示/違反報告)
まめ - 将軍暗殺篇完結お疲れ様でした! これ最後のそよちゃんと将軍様のやり取りで泣きました。。タイトル回収するとは思わなかったですねこれ、、 今回も楽しく読ませていただきました!次も楽しみにしてます! 体調にお気をつけてくださいね! (2020年6月2日 19時) (レス) id: 7bb68938d5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆず(プロフ) - しらぬいさん» 分かります、烙陽決戦篇も良いですよね! ちゃんとお兄ちゃんしてる神威と攘夷四天王の共闘が最高です。百人一首は毎回頑張って選んでいるので、そう言っていただけて本当に嬉しいです! (2020年6月2日 16時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年5月26日 23時