有馬山

将軍暗殺篇／何もかもが嘘 ページ13

「百地貴様、あの男と共謀し将軍の死を偽ったのか！！」




敵(ふじばやし)はやっと分かった真実を叫んだ。




「その首を護るために、我等伊賀者をもだしぬきおったかァァ！！」




味方(さっちゃん)はやっと分かった真実に目を瞠った。




「貴様が伊賀の名を語るな、下郎が」




百地は悔しげな藤林に吐き捨てる。


彼女は全て知っていたのだ。伊賀に春雨(やと)が来たのは藤林が内通して引き入れたから。彼等に手を貸せば伊賀の実権を握れると言われたから。




「悪いがわしもあの小僧も、根っからの忍ぞよ。この技を売る主君もこの技を使う敵も、己で決める」




キッパリと、そう言った。




「伊賀流忍術開祖『百地』の名にかけて、貴様ら下郎に忍の里は渡さ、」




ドッ ドッ




百地の言葉が途切れた。


包帯がグルグル巻きになった首と頭に、クナイが突き刺ささったから。




「ほざけ、老いぼれた人形(デク)が。もう終わりだ」




藤林の身体は鎖で繋がれたままだ。


しかしその大きく開いた口には、クナイがあった。




「伊賀も将軍も何もかも、もう終わりだ」




_____クナイの刺さった衝撃で後ろへと倒れていた頭が、むくっと俯いた。かと思えば、ガポッと大きく口を開ける。




「藤林」




首と頭にクナイを刺された筈の百地の声がした。


開いた口から大砲が出る。着物の袖からも。ウィーンと音を立て、包帯をグルグルに巻いていたそれが変形していく。




「その程度の忍法では、将軍の首はとれぬ」




どうやら藤林がクナイを刺したのは、本当に人形だったらしい。


変形して大砲になった人形が座っていた車椅子を押していた、メイド服の女の子。




「この、百地乱破の首もな」




その女の子が、無表情でそう言った。


藤林が驚きの声を上げる暇も無く、大砲が火を噴く。




「修行が足りぬ。これが本物の『忍砲』ぞよ」


「そっちが本体だったんかいィィィィ！！」

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