バラガキ篇／いつだって ページ8
それからだ。
トシがバラガキなんて呼ばれ出したのも、大好きなお兄ちゃんの元に顔を見せなくなったのも。
「鬼のように暴れるガキを見て怯えた兄弟達に追んだされたのか、てめーをかばって光を失っちまった兄貴に見せる顔がなかったのか。どちらなのかは、しりはせんがな」
トシが鉄を庇ったのはきっと、鉄の気持ちが分かったから。
家族に疎まれる悲しみ、お兄ちゃんへの負い目、どこにも居場所の持てないはみ出し者の気持ちが、分かったから。
「だがな、鉄。アイツは、道からはみ出し茨の中に身をおとしても、傷つきボロボロになっても、その歩みを止めはしなかったぞ」
強くなりたいと思った。
もっともっと強くなって、今度こそ大切な人を護りきりたいと思ったんだ。
……そしてそれは、私だって同じだ。
「みんな同じだよ、鉄。ここにいる連中は、お前と同じロクでもねェはみ出し者や落ちこぼればかりだ」
それでも、ちょっとでもマシになろうともがいて、あがいた。
はいつくばりながら進んだ先で、同じような皆に出会った。
「男の居場所ってのは、そーいうもんじゃねーのか。レールの上に用意されていたり、黙っていて転がりこんでくるものでもねェ」
前に進もうと、ただただ眼前の茨を斬りひらき、できた足跡。
それがいつの間にか、誰かと重なって大きな道になる。
自分達で斬りひらいたその道こそが、志を同じくする仲間と行くその道こそが、私達にとっての居場所。
「家から捨てられたお前がこれからどうするかなんて、俺はしらねェ。てめーの道はてめーで選べばいい。だが、居場所がほしいなら、誰かに認められたいなら、その足だけは止めるなよ」
いつだって茨をゆく、バラガキであれ。
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ゆず(プロフ) - りさん» ありがとうございます！ バラガキ篇大好きなので、ドンドン更新していけたらと思います。全力で頑張ります！ (2020年4月23日 19時) (
レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
り - 続編おめでとうございます！！これからも頑張ってください全力で応援してます！！ (2020年4月23日 19時) (レス) id: e466fb159c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず | 作成日時：2020年4月23日 12時
