検索窓
今日:4 hit、昨日:17 hit、合計:88,787 hit

バラガキ篇/バラガキ ページ6

その日の夜。稽古場の近くを通った時だった。


ガハハハハ、なんて笑い声と楽しそうな近藤さんの声が聞こえて、そこに顔を覗かせる。


近藤さんだけでなく、鉄も居た。




「そうか、トシの奴またやらかしたか。Aも喧嘩を売るのが早いな」




その言葉を聞くに、昼の出来事を鉄に聞いたらしい。


どうせだからこのまま盗み聞きしようかと、私はそこに座り込んだ。




「まァアイツらは元々、仕事してんだか喧嘩してんだかよくわからん奴らだからな。困った奴らよ」


「笑い事じゃねーよ。わかってねェ。アンタもTOSHIもYOSHIも。アニキを……佐々木異三郎を敵に回したらどうなるか」




そんなに恐ろしい奴なのだろうか、佐々木異三郎って。


確かに私の嫌いな人種には見えたけど、それだけじゃない気がする。


それに、どっかで会った事ある気がするんだよね。




「一族の誇りとやらのためならば、弟だって平気で斬り捨てちまう奴なんだぜ。下手したら真選組(ここ)も俺と一緒に潰されるかもしれねェ。なのにTOSHIの奴、なんであんな事……」




私もトシも佐々木異三郎に喧嘩を売ったのは事実だけれど、動機が違う。


私は思った事をそのまま言った。


でもトシは明らかに、鉄を物の様に言われたから喧嘩を売った。




「俺みたいな役立たず、アイツの言う通り斬り捨てちまえばよかったんだ。アンタらだって思ってんだろ。俺が邪魔だって。いなくなってくんねーかって」




鉄は、自嘲するように続けた。




「言われなくてもわかってんだ、俺ァ。妾だったお袋が死んで佐々木家に引きとられてからずっと、そんな目を向けられてきたんだ。もう慣れっこなんだよ」


「バラガキ。ってしってるか、鉄」




唐突に近藤さんがそう言った。


耳慣れないその言葉には、聞き覚えはあった。


昼間にトシが言っていた言葉。




「近づき触れれば棘が刺さるような、手のつけられない暴れん坊。俺の田舎じゃそんなどうしようもない悪タレを、バラガキっていうんだ」




アイツの事さ、と近藤さんは言った。




「バラガキのトシ。アイツはなァ、鉄。お前ら悪ガキどもが震えあがる程の、とんでもねェバラガキだったんだよ」

バラガキ篇/妾の子→←バラガキ篇/アドレス削除



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (60 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
89人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 原作沿い , 真選組
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ゆず(プロフ) - りさん» ありがとうございます! バラガキ篇大好きなので、ドンドン更新していけたらと思います。全力で頑張ります! (2020年4月23日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
- 続編おめでとうございます!!これからも頑張ってください全力で応援してます!! (2020年4月23日 19時) (レス) id: e466fb159c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ゆず | 作成日時:2020年4月23日 12時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。