バラガキ篇/バラガキ ページ6
その日の夜。稽古場の近くを通った時だった。
ガハハハハ、なんて笑い声と楽しそうな近藤さんの声が聞こえて、そこに顔を覗かせる。
近藤さんだけでなく、鉄も居た。
「そうか、トシの奴またやらかしたか。Aも喧嘩を売るのが早いな」
その言葉を聞くに、昼の出来事を鉄に聞いたらしい。
どうせだからこのまま盗み聞きしようかと、私はそこに座り込んだ。
「まァアイツらは元々、仕事してんだか喧嘩してんだかよくわからん奴らだからな。困った奴らよ」
「笑い事じゃねーよ。わかってねェ。アンタもTOSHIもYOSHIも。アニキを……佐々木異三郎を敵に回したらどうなるか」
そんなに恐ろしい奴なのだろうか、佐々木異三郎って。
確かに私の嫌いな人種には見えたけど、それだけじゃない気がする。
それに、どっかで会った事ある気がするんだよね。
「一族の誇りとやらのためならば、弟だって平気で斬り捨てちまう奴なんだぜ。下手したら
私もトシも佐々木異三郎に喧嘩を売ったのは事実だけれど、動機が違う。
私は思った事をそのまま言った。
でもトシは明らかに、鉄を物の様に言われたから喧嘩を売った。
「俺みたいな役立たず、アイツの言う通り斬り捨てちまえばよかったんだ。アンタらだって思ってんだろ。俺が邪魔だって。いなくなってくんねーかって」
鉄は、自嘲するように続けた。
「言われなくてもわかってんだ、俺ァ。妾だったお袋が死んで佐々木家に引きとられてからずっと、そんな目を向けられてきたんだ。もう慣れっこなんだよ」
「バラガキ。ってしってるか、鉄」
唐突に近藤さんがそう言った。
耳慣れないその言葉には、聞き覚えはあった。
昼間にトシが言っていた言葉。
「近づき触れれば棘が刺さるような、手のつけられない暴れん坊。俺の田舎じゃそんなどうしようもない悪タレを、バラガキっていうんだ」
アイツの事さ、と近藤さんは言った。
「バラガキのトシ。アイツはなァ、鉄。お前ら悪ガキどもが震えあがる程の、とんでもねェバラガキだったんだよ」
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ゆず(プロフ) - りさん» ありがとうございます! バラガキ篇大好きなので、ドンドン更新していけたらと思います。全力で頑張ります! (2020年4月23日 19時) (レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
り - 続編おめでとうございます!!これからも頑張ってください全力で応援してます!! (2020年4月23日 19時) (レス) id: e466fb159c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆず | 作成日時:2020年4月23日 12時