今はただ ページ35
１度何かを口にすると止まらなくなって、神楽と新八がまた来る頃には、トシがくれた食べ物は私と銀ちゃんによってすっかり無くなっていた。
「……よつ姉、目ぇ覚めないアルな」
ガラスに両手を付いてお姉ちゃんを見つめながら、神楽がポツリと言う。
いつもは明るい彼女だけれど、今日のその声に元気なんてものは無い。
そういえば神楽はお母さんも病気で亡くなっているんだっけ。もしかしたら、それを思い出しているのかもしれない。
お昼近くになった時、お医者さんがお姉ちゃんの様子を見に来た。
何かを確認したりして、数十分後にお姉ちゃんの病室から出てくる。
彼は申し訳なさそうな、辛そうな、そんな表情で私達に言う。
「かなり悪い状態です。我々も出来る事はしましたが……覚悟はされていた方が、よろしいかと」
お姉ちゃんには、人工呼吸器が付けられた。
その姿が益々ミツバ姉と重なった。
……お姉ちゃんが、�牾洌羯様姚瓩任覆韻譴侘匹�ったのに。
そうすれば笠井家に生まれたワケじゃないんだから、未来を視る力なんて持たなくて済んだ。
そうすれば、こんなに短い寿命じゃなかった。
そうすれば、桜庭家に嫁がなくて済んだ。
そうすればずっと銀ちゃんと一緒に居られたワケだから、幸せな１１年間を送れただろう。
考えたって意味の無い事だっていうのは分かっているのに、思考が勝手にグルグル回る。
「Aさん」
突然名前を呼ばれて、思考がピタリと止まった。
新八を見上げると、悲しそうな顔で笑っていた。
「余計な事は考えないで、待ちましょう。四葉さんがまた目覚めるのを。ずっとそんな顔してたら、四葉さんに怒られますよ」
「……うん。そうだね」
私よりも歳下の彼が、不安そうな顔をしながらも笑っているのに。
そうだ、余計な事は考えたって仕方がない。
今はただ待つ。お姉ちゃんがまた、瑠璃色の綺麗な瞳を見せてくれるのを信じて。
それが私に出来る、唯一で最大の事だ。
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ゆず(プロフ) - りさん» ありがとうございます！ バラガキ篇大好きなので、ドンドン更新していけたらと思います。全力で頑張ります！ (2020年4月23日 19時) (
レス) id: d7263fa231 (このIDを非表示/違反報告)
り - 続編おめでとうございます！！これからも頑張ってください全力で応援してます！！ (2020年4月23日 19時) (レス) id: e466fb159c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆず | 作成日時：2020年4月23日 12時
